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【エッセイ】東北の山の中で、台湾カステラに出会う

「台湾カステラ」というスイーツを最近耳にするようになった。5月2日のYahoo!ニュースでも取り上げらていて「都会の話だわ~。そのうち地方にも伝わってくるんだろうな」なんて他人事に思っていた。

ところが、である。
今日、東北の山あいの温泉に行ったら、思いがけず流行スイーツと出会ってしまった!

私が住む県やその周辺には温泉が多く、「日帰り入浴」できる施設が多い。休日の手軽なレジャーの一つになっているほど、温泉は身近な存在だ。

今日出かけた温泉は、仙台市内中心部から北西方向へ車で2時間。薬来山(やくらいさん)という、山の麓にある。

あいにく雨模様だったので、山の写真はとれなかったが、周りの風景はこんな感じ。

田んぼが広がっていて、今は田植えのピークだった。
行く途中、トラクターを何台も見かけた。
時々、トラクターの後ろを走ることになるも、対向車が次々に来てなかなか追い越せず、「プチ渋滞」に巻き込まれる。
この時期の東北の農村の「あるある」な光景だ。

そんなこんなで、ようやく温泉にたどり着いた。受付した後、大浴場に行く途中に施設内にカフェを発見した。

逆光でよく見えづらいのだが…
「台湾カステラ」のチラシを発見。

チラシによると、町内の地域おこし協力隊の台湾人女性の母親直伝の味だとか…。本場の味、食べてみたい!

入浴後に早速行ってみた。
店内に入ると、卵を焼いたような甘い香りに包まれる。
カステラだろうか…

カステラは、プレーンの他に抹茶とチョコレートがある。店員さんの話から、プレーンは残りわずか、抹茶とチョコレートは私と同時くらいに来た人が買って売り切れた。人気のようだ。

お腹いっぱいだったので、コーヒーを店内で飲み、カステラはテイクアウトにした。

(写真は、メニューの写真を撮らせてもらいました。
店で頼むとこんなイメージです)

家に帰り、早速食べてみた。

口に入れた時、しっとりした食感で、卵の柔らかく優しい味がした。家庭的な「おふくろの味」を思わせる。不思議なことに、海外のものなのに昔から馴染んだような味で違和感がなかった。

日本のカステラよりは、シフォンケーキに近いイメージだった。シンプルな味なので、子どもからお年寄りまで世代を問わず喜ばれそうだ。

食べていると、数年前に台湾茶を飲んだことを思い出した。国際交流のイベントで、日本在住の、台湾人の婦人会の方々による本格的なものだった。

台湾茶は、お茶碗が小さく、すぐに飲みきってしまう。すると、ホスト側の女性たちはすぐに淹れに来てくれる。
時々、話しかけてくれたりと気さくで温かい。思わず、田舎の親戚の家に行ったときの盛大なおもてなしを思い出した。
今まで行ったこともなく、よく知らない国だったのに身近に感じた。

今日のカステラの味も、その温かさを思わせるものだった。そしていつか台湾で、台湾茶と台湾カステラを同時に食べたいなと、コロナ後の旅行案が沸いてきたのだった。