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【エッセイ】「新しいこと」を一日ひとつ~3/6誰もいないお店で、あんバタートーストを買う

ここ一週間、ちょっとしたチャレンジをしている。それは「一日にひとつ、新しいチャレンジをする」こと。
Twitterのある方のツイートを見て、自分もやってみたくなった。
同じような毎日を送っているからか、新しいことに疎くなっている。刺激が欲しくなったのだ。

ただ、チャレンジと言いながらも、「今までやったことがないことであれば良い」というマイルールを設定した。それはハードルを低くして、長く続けていきたいと思ったから。

なのでこの一週間でやったことは「通勤ルートを変える」、「買ったことがない味のハイチュウを買う」などちょっとしたことである。

今日は、「無人販売のお店であんバタートーストを買う」という体験をした。

病院での診察が終わった昼下がりに駅に向かって歩いていた時のこと。
いつもは、アーケードを通るのだが、久しぶりに裏道を通ってみたくなった。裏道沿いには和楽器のお店やナチュラルテイストの雑貨店など、それぞれの個性が溢れる個人商店が多く、歩いているだけで楽しい気分になれるのだ。

裏道を歩くのは数か月ぶり。新しいお店がいくつかできていた。その中で目を引いたのが「無人販売のトースト専門店」。24時間営業らしい。コンビニみたいなパン屋さん。

郊外の田んぼの中にある農産物直売所は何回も見たことがあるが、無人販売のパン屋さんは初めてだった。

「ここは田んぼの中ではなく、100万都市の中心部、人通りもある。スタッフが誰もいなくて大丈夫なのかしら?」
どんなお店なのか気になり、近寄った。

入り口の扉は開いていて、吊るされた半透明なビニールの暖簾越しに中の様子をうかがう。我が家のリビング(8畳)2部屋分くらいの広さかな。

その時はお客さんは誰もいないタイミングで、もちろんスタッフもいなかった。「本当に誰もいないんだ!」と驚いた。

のぞいていると、どのようなトーストが売っているのかだんだんと興味が湧いてくる。「よし、今日の“チャレンジ”はここのお店にしよう!」と思い立ち、中に入った。

中には20種類くらいのトーストが並んでいた。「あんバター」「ミルク」、「かぼちゃあんバター」などの「おやつ系」トーストと、「半熟卵とマヨネーズ」、「ガーリックバター」「ピザトースト」といった「おかず系」トースト、いずれも厚切りの食パンにたっぷりと具がのったものばかり!

一つ一つが袋詰めされて売られていて、無くなったらそれぞれの商品の横にある「からっぽボタン」を押すと出してくれるという。
ボタンを押すと「中の人」に会えるのだろうか……ふとそんなことが頭をよぎる。
しかし、この時はいずれの種類も在庫があった。残念ながら中の人とのご対面は次回以降の持ち越しとなった。

いろいろな種類のトーストに目移りしてしまう。
王道のピザトーストは具だくさんで、隙間から見えるピザソースも美味しそうだ。
一方で、食パンの中心に納豆と半熟卵がのり、周りにマヨネーズがたっぷりかけられた半熟卵と納豆マヨネーズトーストのような変わり種も食べてみたい。
お昼を食べたばかりなので、甘いものにも惹かれてしまう……

迷った挙句に私が選んだのは、「あんバタートースト」だった。
あんこの甘さととバターのしょっぱさのコラボレーションが好きなのだ。

厚切りの食パンにたっぷりのあんこがのる。値段は驚きの300円!

会計は、箱の中に入れる方式で、隣には両替機があった。
誰も居ない中での会計は不思議な緊張感がともなうものだと知った。
私の中で会計といえば、店員さんにお金を渡すことが当たり前だと思っていた。ここ数年で増えたスーパーの自動レジでも周囲には店員さんがいる。なのでスタッフが一人もいないところで会計をするのは初めての体験だった。農産物直売所を除いては。

ドキドキの会計を終えて、家に帰る。
早速、買ってきたあんバタートーストのパッケージに貼られたシールを何気なく見た。
何と、カロリーが400を超えているではないか。食べるのを一瞬ためらう。

「最近、体重増えてるしな……でも食べたいなぁ~」。
そこで、4分の1だけ食べることにした。それなら100カロリーで済むし。

小さく切ったあんバタートーストを温めて口に入れた。
粒あん、バター、厚切り食パンが口の中で溶け合う。甘じょっぱくて、ますます食べたくなる。誘惑に負けて半分食べてしまったが、美味しかったからよしとした。

1日に一つ、新しいことに触れる。
そのことで少しずつ世界が広がっていく。
これからも「一日1つの新しいチャレンジ」を続けていきたいと思う。