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ハムエッグください

「そんなもん、作ってあげるのに」と彼女に言われてしまうのに、頼んでしまうアテというものが居酒屋にはある。ハムエッグはその代表例だらう。ハムエッグ。和製英語。英語ならHam and Eggsなのだそう。ハムエッグの方が何というか語感がいい。ハムエッグ、一つください。

ほどなく出てくるそれ。何も鉄板の上でなくていい。吉野家のようなあれは、いかにもこれ見よがしであり、本来のハムエッグじゃない。大体そんなに熱々でもないし。白い皿の上に、要らないけど繊キャベが添えられて、目玉焼き二個の、ハムが二枚の、がいい。

個人的にはハムは切らないでほしい。そして、目玉焼きの下に敷いてほしい。敷いた状態で白身を流し込み、一体化してほしい。でもちょっとはハムが見えてほしい。色々煩い。当たり前である。家でも彼女でも作れるのだ、ハムエッグは。彼女がいれば、だが。

ハムは安いのでいい。安くて薄いのがいい。目玉焼きの白身より薄いのがいい。縁だけなんか違うのがいい。うん、いい感じだ。

白身は焼けてないといけない。出来ればタイのカイダオのように縁がパリパリで白身はきちんと焼けていて、勿論黄身は半熟英雄でありたい。それが理想論なのは分かっている。もしどうしてもどれかを取らなければいけないなら、黄身の半熟より白身のしっかりを私はとる。たとえその為に、黄身が硬くなってしまったとしても。

あとはかけるだけである。そう、勿論あれである。中濃ソース。異論は認めない。いや、別に認めるけど。ここは絶対好みが出るところですからねぇ。でも目玉焼きではなく、ハムエッグということは考えてほしい。つまり、胡椒をパラりだの、塩だけハラりだのと言うわけには、いかないのである。液体系が必要ではないですか!皆さん!

醤油派の諸君に問いたい。ハムエッグは和食ですかと!ハムは和食ですかと!ですよね?となれば、おソースですよね?ウスターで?まだまだ醤油を引きずってますね。もう諦めてください。そう、ドロリとしたソースです。オタフクはやり過ぎです。そう、中濃なのです。とんかつもいいけど、よりドロリな中濃です。一択です。

これで白身を食べてごらんなさい。あ~旨い。白身のうま味を中濃ソースが完璧に包んでくれます。ハムゾーンにも自然に溶け込んでいきます。ソース多めでオン・ザ・ライス。シロメシが茶色に染まっていくほどに、旨さが広がっていきます。完璧だ。完璧すぎる。

すいませ~ん、ハムエッグください!

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