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さいごに食べたいものは


さいごに食べたいものはなんだろう?

そんなことを深く考えたこともありませんでした。

たぶんだけど、いつも食べているものか、それとも昔に食べた美味しかったものか。

はたまた、食べたことはないけれど、憧れていた食べ物かもしれない。



そんな風にぼんやりと思っていたのだけれど、先日ひとつの答えを見ました。

病気になって、思うように食べられないおばあちゃん。
おいしく食べられるのは、りんごとなしだけ。
特になしが1番いい。
甘すぎず、サッパリとしているのがいいのだとか。
でも、冬になるとなしを販売しているお店は少なく、りんごばかりになってきた。

買い出しに行くのは、それまで家事をしてこなかったおじいちゃん。
おじいちゃんは、季節外れのなしを求めて遠くのスーパーまで車を走らせた。
そのスーパーにはなしがあった。
贈答用の立派で高級ななしだ。
気軽にポンと買うような値段ではないが、おじいちゃんは迷いなくなしを買い占めた。

そして持ち帰ったなしを、おばあちゃんに見せると、はじける笑顔で子供みたいに喜んだ。
おじいちゃんは、すこしにっこりと笑った。

さいごに食べたいものは、きっとその時に一番に浮かぶものだろう。

そして、それを叶えてもらえることは、とても幸せなことだろうと思う。

私もさいごに食べたいものが、食べられるような人生を送りたいなと思うのでした。



そんな風に思い、私はなんだろう?とじっくりと考えてみた結果、やっぱり今のところはビールで乾杯したいなあって思います。
その時、誰かがいて、その誰かと一緒に飲めたらいいなぁって思います。



これは、くまさんの企画を拝見してから、書いていたのですけど、期日には投稿できなくて。
なんでか。
私のおじいちゃんとおばあちゃんのことを思い出していたからです。

おじいちゃんもおばあちゃんも亡くなってずいぶんと経ちました。
でも、二人はさいごに食べたいものが食べられなかったなあ…と気づいたからです。

おじいちゃんは、半身まひの影響で言葉が話せなくなったから、食べたいものがあったのかどうかわからない。
どうにかして聞いてみようという、発想もなかった。

おばあちゃんは、ちょうど私が里帰り出産で実家に帰っていた時期と、体調が悪くなった時期が重なっていて、それはひどい思い出です。
いつもご飯に対して、文句を言っていた。
でも、それは認知症の一部だったのだと、今なら思うけれど、当時は辛かった。

両親は働いていたので、次男の授乳をしたら、おばあちゃん用のやわらかいご飯を作って運び、その後に自分たち用のご飯を作る。
そこには、食べたいものを聞いてあげようという気持ちよりも、日々をなんとか回すだけしか考えられなかった。
寄り添えなかった。

そんなことを思い出して、もんもんとしてしまったのです。


でも気づけてよかったな。
そう思います。



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