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20歳の誕生日と卒業

3月11日。この日は私の誕生日である。2011年以降のニュースでは「被災から𓏸𓏸年。」というフレーズを目にすることになる。

あの大災害があったのは、私が小学2年生の頃だった。その時、私は児童クラブに居て、小さなテレビ画面からその様子を見ていた。家に帰ってバースデーケーキを食べている時も、ニュースで取り上げられていた。私は、九州に住んでいて被災はしなかった。しかし、私と同じ誕生日で被災地に住んでいる人もいるのかと思うと何とも言えなかった。「もし、自分が被災している側だったら」と考える。当時は子どもながらに、素直に自分の誕生日を祝ってい良いのだろうかとも思っていた。今までの人生の中で、あれほど印象深い誕生日は無いだろう。

あれから12年。私は20歳になった。私は短大に進学し、今年の春から就職することになった。
就活は難航し、卒業ギリギリになり漸く就職先が決まった。周囲が内定を貰っていく中、1人残されていく時は不安と焦りが半端ない。24卒の就活が解禁され、マイナビやリクナビ2023はサービスが終了していく。これからどうしようという気持ちでいっぱいだった。
私は面接とSPIが苦手だった。苦手なりに頑張った。しかし、最終面接まで進んだ所からお祈りメールが来た時は、目が腫れるまで泣いたこともある。あの時のショックと悔しさと悲しみは忘れることは無いと思う。

あと、1週間ほどで大学の卒業式がある。入学から卒業までが瞬きのように、あっという間であった。ずっと学生でいたい。これから何十年と働ける自信が無い。
テレビでは、新生活応援のCMや桜の話題で持ち切りである。何気なく見ている時もあったが、自分自身の人生の節目の際に見るとでは変わってくるものがある。

街全体の雰囲気も、春に向けて変化していく。気温が上がり、ちらほらと花が咲き始めていく。そのせいか、人も街もふわふわとした空気に呑まれている。桜をモチーフにした商品が増え、パステルカラーの明るい色の洋服が店頭に並ぶ。
きっと、あっという間に夏に向かって街の装いも変化する。こうして季節を巡って、いつの間にかおばあちゃんになる。希死念慮に苛まれ人生を終わらせたくなる時もあるが、きっと私は病気か何かで死ぬまで生きることになるのだろう。

あと何回。あと何回、桜が咲くのを見れるだろうか。

2023.03.11

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