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メトロポリタン美術館展
2022年3月5日
国立新美術館で行われている、メトロポリタン美術館展に行ってきた。
一番好きだったのが、ルカス・クラーナハ(父)の「パリスの審判」。
1枚の絵としての完成度が異常。
「パリスの審判」の世界をぎゅっと濃縮したような密度の濃さ。
人物のアクセサリーへの繊細な描き込みから、遠景にある建物の細部や葉っぱ一枚一枚までも描き切っていて驚嘆。
そういった部分部分を見ていると、まるでミニチュア模型を見ているような面白さがある。
が、細部にこだわりすぎるあまり、全体にまとまりがなくなる!なんてことが全くない。
むしろ1枚絵としてとても惹かれる。
第一印象で、「お、いいな」と思って近づき、
「うわ〜〜〜!!!すき!!!!」になる。
近づいてみたり、離れてみたり、どこから見ても死角なし。
何も考えずにいつまでもぼーーーーっと眺めていたい。
眺めていると、ふと、こいつら全員目があってないな、とか、
左の馬と右端の女神がこっち向いてて対になってる、とか、
キューピットの羽&パリスの服&(女神の)帽子の赤が画面全体に散りばめられるようにしてるから全体にまとまって見える、とか、その赤が森の緑と補色効果になってて魅力的、とかとかに気づいていく。
色とか明度差とか構図とか、
計算し尽くしてこの絵を描いたのか、ということに気が付く。
きっと「パリスの審判」という題材への暗喩も多く含まれているだろうなぁ、と思う。
気になったのは、パリスの虚な表情と、りんごがなぜ水晶になったのか・・
(Wikipediaで調べてみたところ、どうやらクラーナハはトロイア戦争を中世騎士物語として描いたグイド・デレ・コロンヌ『トロイア落城物語』を元にしているらしい。その物語によると、パリスは寝ている時に声をかけられたから、この絵でもボケーっとした顔をしているそう。水晶についてはよくわからないからもっと調べてみたい。)
展覧会に並んでいた他の作品と比べても、圧倒的に「絵画」としての見応えがある。
1枚の絵の前で、10分も20分も動けなくなったのは初めてだった。
ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー、「ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む」もとてもよかった。
【”ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む”メトロポリタン美術館HPリンク】
明るく軽やかな色彩や、ぼかしの表現に、ターナーが見て、感じたであろう空気感や光を感じた。
よく、「絵は写真よりもそのものを表す」というようなことを言われるが、まさしくこういう事とか、と実感した。
仮に同じものを最新技術の写真で撮ったとしても、これほどまでにヴェネツィアを「感じる」ことはできなかっただろう。
風を感じ、街の喧騒まで聞こえてきそうで、まるで実際にヴェネツィアを旅しているような気分になった。
特に、空の青さが気持ちよかった。
明るく、瑞々しい街の風景を、いつまでも眺めていたい気分だった。
ターナーは写真では何回も見たことあったが、「なんかぼやっとしててよくわからんなあ」と思っていた。
しかし、今回実物を見て、めちゃくちゃいいな!と思った。
色がとにかく気持ちよくていい。
ボヤってるから、空気に含まれる水を感じる。
面白いのは、実物見る前はあまり興味をそそられなかった画像の絵も、「わっ!ターナーやっぱいいな!」と思ってしまうところだ。笑
「ターナーの本物すごくよかった」という経験から、頭の中でいい感じの補正をかけてしまっているのだろう。
画像ではどうしても色の良さが伝わらないから(展覧会後のミュージアムショップで毎回「わ!全然色違うじゃねーか!」と憤ってしまう・・)、
わざわざ実物を見にくる価値があるのだなぁ、と思うのであった。
今回の展覧会で良かったのは、
ルネサンスごろ〜印象派、という幅広めの作品が展示してあったから、それらを行き来しながらいろんな作家の絵を見れたこと。
クラーナハとターナーの実物をみれたこと。
近くに美味しいタイ料理屋さんがあったこと(関係ないw)。
やっぱ西洋絵画好きだなあ〜〜と思った展覧会でした。
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