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白いカーネーション・11「またまた、涙と笑い。母にしてあげた最期のネイルとメイク」

お通夜の日。
15時頃、納棺の予定でした。

仏間に敷かれた布団にいる母は、
ほんとうに眠っているようでした。
施設に面会に行っても
ねてしまっていたときのように……。

もともとお肌も
キレイだったのですが、
油分をぬってもらっているようで、
ほんとにツルツル。

すると、姪っ子が
ネイルをやってくれるとのこと。

彼女は昔から、お菓子をつくったりとても器用で、
今や、ネイルの仕事も受けているほど。

母の手はお布団の中で
組まれていましたが、
ちょうど葬儀屋さんがいらしたので
事情をはなして、
拘縮のないほうの手を
ゆっくり開いてくれました。

仕事道具をひっさげて、
姪っ子がやってきました。

どの色にしようか、
姉と私も一緒に考えました。
そして、母の好きそうな
深いローズ色を選びました。

亡くなった母の手をとり
真剣に塗ってくれる姪っ子の横顔に
胸がいっぱいになります。

おままごとしていたのが
ついこの間(おばちゃんアルアル)なのにね。

そしてあれやこれや迷いながら
薔薇のシールもはってくれて
とても美しい母の手になりました。
姪っ子ちゃんありがとう。

葬儀のときに
喪主の長兄がその説明をしてくれました。

でも、感動のその横で
またまた爆笑?の事件があったのです。
お母さんごめん。

姪っ子が
ネイルをしてくれているあいだに、
姉と私で、
「納棺してしまったらできないし、
お母さんにお化粧をしてあげよう」
ということにしました。

「ツルツルのお肌だから、ファンデーションを
下手にぬらないほうがいいね」
「そうだね。眉と口紅だけにしよう」

母をはさんで、右側に姉が、
左側にわたしが座っていたので、
まず姉が母の右眉をかきました。

そして左眉をわたしが。

人の顔にかくこと自体難しいのに、
骨ばった母の顔、
そして薄くなった眉を埋めるのは
思ったより難しく……。

すると姉が、わたしのかいているのをみて
「ちょっと! ○○ちゃん! かきすぎじゃない?」
「え?」

二人で、少し腰を上げて上から見たら、
「やば!!」
「どうしょう」
左右ふつりあいな眉……。   

心なしか口紅もはみ出してる?

「お母さんが
『ちょっと、あんたたち!』って突っ込んでるよ」 
「どうする?」
といいながら、焦るやら、またまた笑えるやら

器用な姪っ子ちゃんが、
カット綿でぼかしてくれてなんとか。

われわれの心配をよそに、
結局その後、
湯潅してから納棺前に、
納棺師さんが、とてもとてもきれいに
お化粧してくれました。
さすがプロです。

その前に「ご家族でされますか」と
いってくださったのですが、
「いえいえ!! やってください。
おねがいします」と
私たちは、ぶるぶると首をふったのでした。

おかげさまで、遺影とおなじくらい
本当に、本当に、美しいお化粧で
母は旅立ちました。

お母さん、笑ってごめんね。
本当にきれいだったよ。











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