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白いカーネーション・12「納棺師さんへの感謝。湯かんと納棺の儀式」

15時になり
いよいよ母が納棺される時間が来ました。

男女ふたりの納棺師さんが、
丁寧に準備をはじめてくれました。

「最後に着せたい洋服や着物があるか」
「宗派によって装束のちがいがあるが」
「メイクはご家族がするか」など
きいてくださいました。

エピソード11の
焦った素人メイクがあったので、
もちろん全部お任せになりました。

昼下がりの仏間は、
日がさして明るく、
お風呂にいれてもらいながら
母は気持ちよさそうでした。

シャンプーもしてくださり
丁寧に体もあらってくださいます。

そして私たちも足を洗わせてもらいました。

ほそくなった母の足。
ふかくきざまれた足の裏のしわ。

この足で家族のために、
忙しく歩き回っていたのだとおもうと、
ただただ、
「おかあさん、ありがとう。ありがとう」
といいながら洗いました。

冷たくなった体は
悲しく寂しいものですが、
こうしてリアルに受け入れるための
大切な儀式だとおもいました。

そして家族でひとりずつ、
ひしゃくですくって
胸まですうっと水をかけ、
男性チームで母を棺にいれました。

布団にいたときは
寝ているだけだったのですが、
棺にはいると、やはり現実を知らされ
胸にくるものがありました。

母は本当に美しく
メイクしてもらっていました。
納棺師さんが
「女優さんみたいです」といってくれて、
親バカならぬ子バカ、
「本当ですね」とうなずく私たちでした。
母も喜んでいたと思います。

葬儀屋さんはもちろん、
納棺師さんのこのお仕事は
たしか以前映画にもなっていましたが

10人いれば10人の
家族の悲しみや見送りがあり
そこに寄り添い、最高の形にすることは
すごい仕事だとおもいました。

本当にありがとうございました。




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