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遅効性の毒

最近、自分の周りだけかもしれないが、「遅効性の毒」という言葉をよく耳にするようになった。

これは、言葉通りの科学的な意味のほか、「言われた瞬間には気付かないが後から発覚する嫌味」のことも指す。



代表的なのは京都人の"いけず"。

知人は、京都の人との待ち合わせにうっかり寝坊してしまい、謝りながら遅刻の旨を電話すると「ほんならこっちでも枕用意しときます?」とにこやかに言われたらしい。

ひゃあ〜〜恐ろしや!


いけずに代表されるように、上質な(?)皮肉とか嫌味というものは、柔らかい物腰で言われるせいもありその時点では皮肉と分からないのだそうだ。
(まぁ、枕を厚意として喜ぶ人は素直すぎると思うが)


自分は幸か不幸か、そういった種類の嫌味に当たったことがない。

否、言われていたとしても気付いたことがない。


これは…まごうことなき幸いか。



ただ、嫌味はないけれども、
誰かと会った後しばらく経ってから「いやよく考えたらクッソむかつく」という経験は何度かあった。

そのほとんどは、相手が無愛想だったとかストレートに失礼だったとかの類いのもので、
遭遇するのは決まって自分の機嫌がいい時である。

機嫌がいいから、その時にはさして気にならないものが、
後日気分が乱れている際に「そういえば前こんなことあったよな」とうっかり思い出してしまうパターンだ。
これも遅効性の毒と言えよう。


不思議と、「何か言われたら言い返してやる」みたいな警戒戦闘モード(自分は初対面だと大抵これだ)だとそういう攻撃は滅多にない。

ウキウキ上機嫌、細かいことは全部流せるメンタリティの日に限って変な人が現れるのだ。


あれは一体何なのだろう?

痴漢や露出狂など全然平気という人ほどあまり変態に会わないし、
UFOが頻発している場所にTVカメラが行くとほぼ現れない。

同じように、嫌味を察知してやる、とレーダーを光らせている間は嫌味は見つからない。


また以前、バーレスク業界にはとにかく性悪で誰とも険悪なバーレスクダンサーがいるとの話を聞いたことがある。

その人にまつわる悪い噂や本人からいじめられた人の話は数多く聞くのに(驚くことに、良い噂が1つもない)、
自分自身はまだそのダンサーと会ったことがない。


やはり、「どんな嫌味が来るのか楽しみ」と期待してしまう自分のような人間とは波長が違うのだろうか。
残念な限りだ。


これらを考え、自分が導き出した結論は
毒は常に周りにある。遅効性の毒とは、その毒に気付くか気付かないかの感知モードの違いについての表現であり、実際に時差で効いてくるものではない」ということだ。

その場で気付く毒は、即効性の毒。

自分はこちらの毒には警戒しているものの、時折油断した隙に遅効性の毒に蝕まれ自滅しているのであった。

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