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不思議の国のアリス|翻訳05(第3章 コーカス・レースと長い話①)

・はじめに
英文がスッと読めるようになりたくてアリスで英語勉強しています。
頭の中を整理するための訳なので、直訳ぎみで日本語がおかしい箇所があります。

最初から→不思議の国のアリス翻訳01
前回→不思議の国のアリス翻訳04

Chapter III
a caucus-race and a long tale(コーカス・レースと長い話①)

They were indeed a queer-looking party that assembled on the bank—the birds with draggled feathers, the animals with their fur clinging close to them, and all dripping wet, cross, and uncomfortable.

岸の上に集合した彼らは本当に変な集団だった。汚れた羽根を引きずる鳥たち、毛皮がくっつき合っている動物たち、みんな濡れて水がポタポタ滴り、イライラして居心地が悪そうだった。

• assembleアセンブル(集まる、集合する)
• draggle ドラゴォル(引きずって汚す、ぬらす、のろのろついて行く)
• fur(毛皮)
• clingingクリング(くっつく、しがみつく、張り付く、密着する)
• drip(滴る、ポタポタ落とす、滴らせる)
• cross(色々な意味があるけど、この場合は「ご機嫌斜めの、イライラした、腹を立てた、つんつんしている、怒りっぽい」)
• uncomfortableアンカンファタボル(心地良くない、気まずい、落ち着かない)

The first question of course was, how to get dry again: they had a consultation about this, and after a few minutes it seemed quite natural to Alice to find herself talking familiarly with them, as if she had known them all her life.

最初の問題はどうやったら元通りに乾かすことができるか。彼らはこれについて相談した後、少し間を置いてアリスを見つけ、とても自然にに親しげに話しかけた。まるでアリスの全てを知っているかのように。

• familiarlyファミリアリィ(親しく、心安く、なれなれしく、打ち解けて)

Indeed, she had quite a long argument with the Lory, who at last turned sulky, and would only say, “I’m older than you, and must know better.” And this Alice would not allow, without knowing how old it was, and, as the Lory positively refused to tell its age, there was no more to be said.

アリスはヒインコととても長い議論をした。最後にはヒインコは不機嫌になって、これしか言わなくなった。「アタシはあんたより年上よ。だからあんたより物知りなのよ」アリスは年が分からないままでは許さなかったが、ヒインコは頑として年を言うのを拒んだので、それ以上は言うことは出来なかった。

• argumentアーギュメント(議論、討論、討議)
• sulkyサルキー(むっつりした、不機嫌な、仏頂面)
• olderオールダー(oldの比較級。年上。)
• refusedリフィーズ(拒む、嫌がる、したくないという)

At last the Mouse, who seemed to be a person of authority among them, called out, “Sit down, all of you, and listen to me! I’ll soon make you dry enough!”

最後にネズミ。彼らの集団の中でも権威ある動物のようだった。ネズミは呼びかけた。「皆さん座ってください。そしてぼくの言うことを聞いて下さい!すぐにあなたたちを乾かすことができるでしょう!」

• authorityアソラディ(権力、支配権、権力者)

They all sat down at once, in a large ring, with the Mouse in the middle. Alice kept her eyes anxiously fixed on it, for she felt sure she would catch a bad cold if she did not get dry very soon.

そして、ネズミを中心に皆は大きな輪になって座った。アリスはすぐに乾かなかったら風邪をひいてしまうと思ったので、その様子をずっと心配そうに眺めていた。

• feel sure(確信する)
• catch a bad cold(風邪をひく)

“Ahem!” said the Mouse with an important air. “Are you all ready? This is the driest thing I know. Silence all round, if you please! ‘William the Conqueror, whose cause was favoured by the pope, was soon submitted to by the English, who wanted leaders, and had been of late much accustomed to usurpation and conquest. Edwin and Morcar, the earls of Mercia and Northumbria——’”

「エヘン!」ネズミは偉そうに言った。「みなさん準備はいいですか?これがぼくが知っている一番乾く方法です。お静かにお願いします!『ウィリアム征服王はローマ教皇に気に入られて、すぐに英国は服従した。彼はリーダーを求めていて、最近は剥奪や征服に慣れてきたところだった。エドウィンとモルカーはマーシア王国とノーサンブリア王国の伯爵で・・・』」

• Ahem(エヘン。咳払いする時の声。)
• with an important air(偉そうに、尊大ぶって、もったいぶって)
• if you please(よろしければ、驚いたことに)
• pope(ローマ教皇)
• favour=favor(好む、親切な行為、世話、好意的な態度)
• submit(提出する、服従する・させる、提案する)
• accustomアカスタム(慣れさせる、なじませる)
• of late(最近)
• usurpationユーサペイション(侵入、侵害、剥奪)
• earlsアール(伯爵)
• Mercia(マーシア王国)
• Northumbria(ノーサンブリア王国)

“Ugh!” said the Lory, with a shiver.
“I beg your pardon!” said the Mouse, frowning, but very politely. “Did you speak?”
“Not I!” said the Lory, hastily.

「うげっ!」とヒインコが震えながら言った。
「すみませんが!」とネズミは顔をしかめたが、とても丁寧に「あなたが言ったのですか?」
「アタシじゃない!」とヒインコは早口で言った。

• shiverシヴァー(震える、揺れる、寒気)
• politelyポライトリィ(丁寧に、礼儀正しく、失礼のないように)
• frownフラウン(しかめっ面、顔をしかめる)

“I thought you did,” said the Mouse. “I proceed. ‘Edwin and Morcar, the earls of Mercia and Northumbria, declared for him; and even Stigand, the patriotic archbishop of Canterbury, found it advisable——’”

「あなただと思ったのですが」とネズミ。「続けます。『エドウィンとモルカーはマーシア王国とノーサンブリア王国の伯爵で、ウィリアム征服王を支援すると宣言した。スティガンドですらも宣言したのですが、彼はカンタベリーの愛国的な大司教で、それが望ましいことだと理解したのです・・・』」

• proceedプロシード(始める、続行する、進む、~から発生する)
• patrioticペイトリアデック(愛国的な、愛国心の強い)
• archbishopアーチビショプ(大司教、大監督、大主教)
• Canterbury(イギリス国教会の総本山)
• advisableアドヴァイザボウ(望ましい、賢明な)

“Found what?” said the Duck.
“Found it,” the Mouse replied rather crossly: “of course you know what ‘it’ means.”
“I know what ‘it’ means well enough, when I find a thing,” said the Duck: “it’s generally a frog, or a worm. The question is, what did the archbishop find?”

「何をしたって?」とアヒル。
「それが望ましいことだと理解したのです」ネズミはかなり不機嫌に繰り返した。「もちろん、あなたは『それ』の意味を知っていますよね」
「意味はよーく知っているよ。僕が『それ』を理解した時、」とアヒル。
「『それ』は普通にカエルかイモムシだろうね。問題は大司教様は『それ』が望ましいことだと理解したの?」

※ネズミはfindを「気が付く、理解する、分かる」の意味で言ったのだけど、アヒルはfindを「何かを見つけた」という意味でとってしまった。なので会話がちぐはぐになっている。やっぱりそういうことってあるの?

The Mouse did not notice this question, but hurriedly went on, “‘—found it advisable to go with Edgar Atheling to meet William and offer him the crown. William's conduct at first was moderate. But the insolence of his Normans——’ How are you getting on now, my dear?” it continued, turning to Alice as it spoke.

ネズミはその問いには答えず、急いで続けて、「『・・・それが望ましいことだと分かり、エドガー王子と共に王冠を奉献しにウィリアムに会いに行ったのです。ウィリアムは最初は穏やかに行いましたが、彼らノルマン人の無礼は・・・』――今の調子はどうだい、アリス?」と振り向きながら話した。

• Athelingアセリング(王子)
• offer(申し出る、提供、奉献)
• conduct(実施する、行う、指揮する、経営する、連れる、伝える)
• moderateモダラトゥ(穏やかな、適度な、程良い)
• insolenceインソレンス(横柄、傲慢、無礼、生意気、傍若無人)
• Normans(ノルマン人)

“As wet as ever,” said Alice in a melancholy tone: “it doesn’t seem to dry me at all.”

「今までと同じくらい濡れているわ」と憂鬱そうな声でアリスは答えた。「全身乾いてないように見えるわよ」

【メモ】
※いきなり難しいことを話し出して何かと思ったら、ネズミは講釈を垂れることでみんなが乾くと思ったのね。

“In that case,” said the Dodo solemnly, rising to its feet, “I move that the meeting adjourn, for the immediate adoption of more energetic remedies——”

「それならば」ドードーは足を上げて粛々と言った。「審議を一時中断することを動議として提案し、より精力的な解決策を即時に採用することを・・・」

• In that case(もしそうなら、その場合には、それじゃあ)
• solemnlyソレムニー(真面目に、厳粛に、心から、厳かに)
• move that(~することを動議として提案する。「動議→議題を提起すること。思い付きで意見を言うこと。また、その案や意見。」)
• adjournアジャーン(会議などを中断する、一時休止する、閉廷、閉会、引き上げる)
• immediateエミーディアトゥ(即座の、即時の、ごく近い、差し迫った、すぐ次の)
• adoptionアドプション(採用、選択、養子縁組、受け入れ)
• energetic エネルジェレック(精力的な、活気に満ちた、エネルギッシュな)
• remediesレメディ(解決策、救済策、治療薬、医薬品、療法)

“Speak English!” said the Eaglet. “I don't know the meaning of half those long words, and, what’s more, I don’t believe you do either!” And the Eaglet bent down its head to hide a smile: some of the other birds tittered audibly.

「英語で話してくれ!」子ワシが言った。「長ったらしい言葉で意味が半分も分からないぞ。それにあんただって知ってるとは思わないがね!」と小ワシは頭を折り曲げて笑いを隠した。何羽かの鳥たちはクスクス聞こえるように笑った。

• what’s more(その上、さらに)
• bentベントゥ(曲がる、方向、傾向)
• titter(クスクス笑い、忍び笑い)
• audiblyオーディブリィ(聞こえるように)

【メモ】
I don’t believe you do either(私は思わない、あなたもそうだとは)
子ワシが言いたいことを分かりやすくすると↓
I don't think you know either.(私は思わない、あなたが知っているとは)
◆ 否定文で文末の「either」は「~も」。肯定分だと「too」

“What I was going to say,” said the Dodo in an offended tone, “was, that the best thing to get us dry would be a Caucus-race.”

「私が言おうとしていたことは、」気を悪くしたようにドードーは言った。「コーカス・レースこそ、私たちが乾く最善のことだと」

• going to(~するつもりだ。省略でgonna。)
• What I was going to say(私が言おうとしてたことは)
• offendedオフェンデッド(気を悪くした、気分を害した、立腹した、傷つけられた)
• Caucus(党員集会)

“What is a Caucus-race?” said Alice; not that she much wanted to know, but the Dodo had paused as if it thought that somebody ought to speak, and no one else seemed inclined to say anything.

「コーカス・レースって何なの?」アリスは別に知りたいわけではなかったが、ドードーが勿体ぶって誰かが言うと思っている様子で、他に誰も言いたそうに見えなかったので聞いてみた。

• as if(まるで~かのように)
• incline(物が傾く、傾ける、人の気持ちを向けさせる、~したいと思わせる)

“Why,” said the Dodo, “the best way to explain it is to do it.” (And, as you might like to try the thing yourself, some winter-day, I will tell you how the Dodo managed it.)

「ウム」とドードー。「それを説明する最善の方法は、実際にやってみることだ」(冬の日などにあなた自身でレースをしてはいかがだろうか。どんなことをドードーがやったか教えてあげよう)
【メモ】
※括弧内は著者の声。なぜ冬の日?いじわるを言っているのか?

• you might want[like] to(~したほうが良いかもしれません、してはいかがでしょうか「相手の自主性を重んじるめちゃくちゃ優しい提案」)

First it marked out a race-course, in a sort of circle, (“the exact shape doesn’t matter,” it said,) and then all the party were placed along the course, here and there. There was no “One, two, three, and away!”, but they began running when they liked, and left off when they liked, so that it was not easy to know when the race was over. However, when they had been running half an hour or so, and were quite dry again, the Dodo suddenly called out “The race is over!”, and they all crowded round it, panting, and asking, “But who has won?”

まず、ドードーはコースを作るため円状の印をつけた。(「正確な形でなくとも問題ない。」とドードー)そして、コースに沿ってみんなをあちこちに配置させた。「1,2,3、スタート!」の合図はなかったが、みんなは好きな時に走り始めたり、コースから外れたりした。なのでいつレースが終わるか分かり辛かった。しかし、みんなが30分くらい走った時、元通りによく乾いていた。ドードーは突然叫んだ。「レース終了!」みんなはぎゅうぎゅう詰めになって、ハアハアしながら尋ねた。「だけど誰が勝ったんだ?」

【メモ】
◆コーカス・レースとは何だったのか
直訳すると「党員集会のレース」で、組織のメンバーが要職を得ようとして、好き勝手意見を言って年中画策していることの風刺として書かれている。

• First it marked out a race-course(itはドードーのこと)
• exactイグザークト(正確な、精密な、強要する、要求する)
• shapeシェイプ(形。※sharpシャープではない。)
• placed(placeの過去形・過去分詞。置いた、設置した)
• or so(大体、それぐらい)

This question the Dodo could not answer without a great deal of thought, and it sat for a long time with one finger pressed upon its forehead (the position in which you usually see Shakespeare, in the pictures of him), while the rest waited in silence. At last the Dodo said, “Everybody has won, and all must have prizes.”

その質問にドードーはじっくり考えないと答えることができなかった。額に指をあて、長い時間座り込んだ。(その体勢は有名なシェイクスピアの絵のように見えた)その間みんなは静かに休んで待った。ついにドードーは口を開いた。「皆が勝った。なので全員に褒美が与えられるべきだ」

【メモ】
※ドードーは鳥なのに「one finger pressed upon its forehead(一本指を額にあて)」と書いてある。足は届かないので翼だろうけど、ドードーの翼はかなり小さいので中々面白い体勢になっているのでは・・・と思ったら、なんと挿絵のドードーには人間の手が生えている!

• a great deal of thought(あれこれ考えた、じっくり考えた)
• foreheadフォアヘッド(額、おでこ)
• Shakespeare(シェイクスピア)

“But who is to give the prizes?” quite a chorus of voices asked.
“Why, she, of course,” said the Dodo, pointing to Alice with one finger; and the whole party at once crowded round her, calling out, in a confused way, “Prizes! Prizes!”

「だけど、誰がご褒美をくれるの?」みんなは声をそろえて尋ねた。「ウム、もちろん彼女だ」とドードーはアリスを指さした。すぐにみんなはアリスの周りに詰め寄って口々に叫んだ。「ご褒美!ご褒美!」

• point(指さす、示す、向ける、主張、先端、点、ピリオド)
• in a confused way(雑然と、混乱した状態)

Alice had no idea what to do, and in despair she put her hand in her pocket, and pulled out a box of comfits (luckily the salt water had not got into it), and handed them round as prizes. There was exactly one a-piece, all round.

アリスは何をすればいいかまったく分からなかった。絶望しながらポケットに手を入れたら、コンフィット(※ナッツを糖衣で包んだお菓子)の箱を引っ張り出した。(運が良いことに塩水で濡れてなかった。)そして周りのみんなに手渡した。ちょうど一人一個ずつ全員に行き渡った。

• despairディスペア(絶望、失望、落胆)
• pull(引っ張る)
• comfitコンフィット(イギリスのお菓子。ナッツを糖衣で包んだお菓子。金平糖の語源。)
• handed(手渡す、渡す)

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