見出し画像

ある日突然、海が私の生活の一部となった

私が生まれ育った場所は、海に面していない内陸地だった。
生まれてから大学を卒業するまでは、ずっと地元で生活をしていたが、
就職を機に地元を離れ、配属先の海沿いの地域で社会人生活を始めた。

初めて地元を離れて海沿いの地域で生活を始めたが、そこまで海を感じることは無かった。
ドライブで海沿いを走った時に「あっ、海だ」と感じるくらいだった。
あとは強風時に海から飛んでくる潮風によって、髪がパサパサになる時くらいだ。
幼い頃から、海を感じる機会が少なかった為、「なぜ髪がパサつくのか?」理解するのに時間を要したのが懐かしい。

そんな私の生活の一部に突然、海が介入してきたのは、会社内での部署移動がきっかけだ。当時勤めていた会社は、物流会社であったが、最初の配属では陸運関係だったので、海は全く関係しなかった。
しかしながら、海運関係の部署に異動したことで、一気に海が私の生活に入り込んできた。船の配船や運航管理を行う部署へ異動した為、毎日「波高」「風向き」「風速」等の海の気象情報を確認することがルーティンとなった。

今まで海を感じることは休みの日のドライブぐらいだったのが、半ば強制的に毎日海を感じることになったのだ。最初は「波高」「風向き」「風速」によって船舶へどのような影響があるのか、よくわからなかった。
毎日、海の気象情報を確認した上で、岸壁を歩きながら、海を見ていた。
「今日はべた凪だな」とか「今日はしけているな」と感じていた。
天気がいい日は海は穏やかでこちらの気持ちまで穏やかになった。
一方で台風が近づいていると、地上ではいつもと変わらないが、
海は台風の影響でうねりが入ってくるので、「あー、台風が来るんだな」と思い、気持ちがどんよりした。

このように毎日海を見ていれば海の変化は理解出来たが、
やはり船舶の運航にどのような影響があるのかは理解出来なかった。
その為、会社にお願いして実際に自社の船舶に乗船させてもらい、理解しようと努めた。
「波高」は素人の私でも高いと、船舶の運航に危険を要することは想像ついたが、「風向き」「風速」も船舶の運航には重要な判断材料であることを理解することができ、とても貴重な経験が出来た。同じ風速でも風向きによっては運航出来ないことがあることに驚いたのは今でも覚えている。
でも一番思い出に残っているのは、車のように道路があるわけではない、
あの大海原の中を安全に運航している船員の存在だ。
常に周りの状況を確認しながら、安全第一で運航に勤めている船員には頼もしさを感じた。

今は転職し、海に携わることは無くなったが、いつかまた海の世界で仕事をしたいと思っているので、その時が来たら、思う存分海を感じようと思う。

#わたしと海


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?