見出し画像

【リプレイ】ケダモノオペラ「饗応の試練場」🕷アマネア編

⚠️リプレイテキストのため、ネタバレが含まれます⚠️

ケダモノオペラ「饗応の試練場」
https://operarpg.jp/

◆むかしむかし

人が剣と魔法を武器に、世界を切り拓いていた頃・・・
“闇の森”にあるケダモノの住処に、人間の国の騎士たちがやってきました。
騎士団長ブリジットは、ケダモノに第二王子シャルルを救う旅に同行してほしいと願います。
彼は仲間とともに地下迷宮“饗応の試練場”の探索行に出て、もう一月も帰らないというのです。
ブリジットたちはかの迷宮に潜り、シャルル王子を見つけ、連れ帰らなくてはなりません。しかし騎士団の力だけでは、魑魅魍魎の巣食う迷宮深部の攻略は至難でしょう。
ケダモノは願いを聞き届け、共に迷宮へと挑むことにしました。
しかし……迷宮の奥底でケダモノは、おぞましい試練に直面します。

◆ケダモノ設定🕷

ケダモノ名:アマネア
ケダモノ種:アラクネ(蜘蛛)
権能:慈愛
伝説:育むもの
欲望:支配、奉仕
疑似餌の姿:にこやかなメイド姿の女性
住処:ケダモノの墓場

慈愛に満ちた性情。
親兄弟を喰らい、その墓場に住みながら、森の動植物を愛でて幸せに暮らしている。
人間の子を育てた過去があるが、それをきっかけに、彼女は変わってしまったとか…。


はじまりはじまり

◆場面1:騎士たちの来訪

ケダモノの墓場。そこには蜘蛛のケダモノ アマネアが暮らしていました。

「こらこら、イタズラしたのは誰ですか」
「見回りを手伝ってくれる子は?」

今日もせわしなく動き回り、子蜘蛛の世話をしています。ふと、武装した人間の足音を聞きとります。

「アマネア様、アマネア様!どうか、我らの願いを聞いてください!」
「騎士団長ブリジットと申します」
「どうか、我が国の第二王子シャルル殿下をお救いする旅に同行していただきたいのです」

人からの頼まれごとは久しく、頼られることが好きなアラクネは明るい声色で話します。

「よくここまでいらっしゃいました」
「ケダモノが人間に何を求めるかは、お分かりですか?」

ブリジットは表情を硬くしながらも、迷いなく頷きます。人と国への愛を汲み取り、アマネアは嬉しそうに笑います。

「それでは参りましょう」


◆場面2:迷宮都市

 "饗応の試練場"は渓谷の崖にぽっかりと口を開いています。いつからあるともしれないこの地下迷宮は、広く深く、いまだに底まで踏破されたことがありません。
 未発見の財宝を求め、腕自慢たちが集まり、彼らの落とすあぶく銭を目当てに商人が群れ、谷底に迷宮城下町ができあがりました。

迷宮都市に辿り着いた一行は、ブリジットの提案で第二王子の情報収集をすることになります。

「姿を現してはなりませんよ」

はしゃぐ子蜘蛛に、アマネアはくぎを刺しました。疑似餌の姿で街一番の武器屋に足を運び、店主に声を掛けます。ブリジットの記憶を読み取り、第二王子の顔を精巧に再現した刺繍を提示しました。

  試練:シャルル王子の情報を集める

  【特技:糸の芸術】>受難の門(権能使用)

店主は、何も買わず情報だけ聞き出そうとするアマネアに非協力的な態度を示します。アマネアは、遠い昔に、とある王宮で見た飾り絨毯を魔法の糸で再現し、それを店主に差し出しました。上質な絨毯を受け取り、驚いた店主は知っている情報全てを話し始めます。

シャルルの冒険者パーティはこの迷宮から、幾度も財宝を持ち帰ったベテランだ。彼らと懇意にしている商人は"饗応の試練場"の今回の探索計画を知っていた。それによると彼らは迷宮の入り口から"千の竜塚""盗掘者の野""果てなしの大滝"を経由し、深層を目指すルートを計画していた。
当初の予定では往復で半月。購入した食糧と水から考えると、切り詰めたとしてもそろそろ備蓄が尽きる頃だろう。


◆場面3:千の竜塚

一行は地下迷宮へと入り、"千の竜塚"を目指します。

  試練:“千の竜塚”を突破する

  【特技:絡みつく罠】>栄光の門

卑しいドラゴン達が、一行の心を追い込むようにしつこく付いてきます。それを察知したアマネアは、指先から糸を出し人型の罠を作り出します。エサと勘違いしたドラゴンはその人型に食らいつきますが、気づけばその糸に絡め取られていました。糸を剥がそうともがくほどに身動きが取れなくなり、そうしている間に子蜘蛛たちがドラゴンをいたぶって遊びます。

〈予言:誘い出されたのは自分の方だと気づきました〉

「遊び疲れても、自分で歩いて帰るのですからね」

厳しい語気で子蜘蛛を諫めますが、無邪気に遊ぶ姿にアマネアも穏やかな表情を浮かべています。あっという間に、子蜘蛛は唾液でドラゴンを溶かしてしまいました。


◆場面4:盗掘者の野

"千の竜塚"を超えた一行は、"盗掘者の野"へと足を踏み入れます。

  試練:“盗掘者の野”を突破する

  【特技:使用せず】>栄光の門

子蜘蛛が盗掘者の罠を溶かして遊び、一行は安全に歩みを進めます。異様な光景ですが、騎士団はまるでそれを気にも留めず進軍します。


◆場面5:生存者

地下通路の先には、旅人たちが集まり小規模の基地が作られていました。その天幕のひとつで、シャルルのパーティだったという戦士と出会います。

「探索行は途中まで順調にすすんでいたんだ。だが"果てなしの大滝"の底から、あのドラゴンがあらわれた。俺たちは懸命に逃げたが、ひとりずつ死んでいった。シャルルとは、そこではぐれた……」
「やつはシャルルしか見てなかった。シャルルは英雄として見初められたんだ。わかるさ。あいつは他のやつとは違う。なんていうのかな、魂に気高さみたいなものがあるんだ。だから狙われた」

アマネアは、前向きな言葉をかけてその場を去ります。


◆場面6:紅蓮の炎

基地をあとにした一行は、"果てなしの大滝"を目指します。騎士団長のブリジットは、第二王子は自分の兄であり、師であること。彼を心から尊敬していることをアマネアに話しました。

しかし突如、饗応夫人の子竜経達が一行を襲います。アマネアは咄嗟に子蜘蛛と人間に糸を伸ばしました。生きる騎士を糸で操り、子竜を薙ぎ払います。

激しい戦闘にブリジット含めた騎士団は疲弊しきっています。子竜を沈黙させたアマネアは、騎士団をこの場に置き、一人で奥へと進みます。


◆場面7:果てなしの大滝

アマネアは"果てなしの大滝"に辿り着きました。

突如、青年を連れたドラゴンが谷底に急降下するのが見えました。饗応夫人と第二王子で間違いありません。アマネアは迷いなく大穴へ飛び込みます。

それに気づいた饗応夫人はアマネアを威嚇します。話をせずとも、この獲物を奪いに来たことを察知し、二人はにらみ合います。饗応夫人は妖しく笑みを浮かべたかと思うと、ゆっくりと瞼を閉じました。

<竜の夢>
アマネアは饗応夫人に意思を乗っ取られる感覚に陥ります。

  試練:“饗応夫人”からシャルルを ”からシャルルを救う

  【特技:脳味噌いじり】>栄光の門

<竜の夢>を使って、意思を制服しようとする饗応夫人に、アマネアは抵抗しません。饗応夫人が勝利を確信しニタリと笑いますが、アマネアは油断する饗応夫人の脳味噌に潜り込み、彼女の意識を書き換えます。そのまま饗応夫人を久遠の眠りにつかせることに成功しました。


◆場面8:饗応の試練

ドラゴンに攫われたかと思えば、次の瞬間には大蜘蛛と対峙している。第二王子にとっては絶望的な状況ですが、澄んだ目でアマネアを見返します。

  試練:シャルルを食べるのを我慢する

  【特技:使用なし】>受難の門

極上の魂に、アマネアは食欲がこみ上げます。食べたい、食べたい、食べたい…。しかし、第二王子に手をかけることはありませんでした。第二王子に事情を説明して、二人は滝の底から脱出します。


◆場面9:王子の帰還

二人は、再出発の準備をする騎士団の元まで戻りました。

「アマネア様!殿下は…」
アマネアに気が付いたブリジットが声を絞り出します。生き残った騎士たちも息を飲んでアマネアを見ます。

すると、アマネアの巨体の後ろから、第二王子が顔を出しました。

「ブリジット…お前がケダモノ様を連れてここまで来てくれたのか」
「私が離れている間のことを聞かせてくれ」

第二王子の帰還。大喜びで声をあげる者、感極まって目に涙を浮かべる者…辺りは歓喜の渦に包まれました。

皆が感情を露わにし、衝動に抑えが利かなくなったアマネアが第二王子を払いのけます。はっと騎士団がアマネアを見上げると、恐ろしいケダモノの顔がありました。アマネアは自身を襲う欲望に身を預けて、騎士団に襲いかかります。それは一瞬の出来事でした。返り血で体を彩ったアマネアが、唯一生かした第二王子に振り返ります。

「でも、安心してください。」

【オペラ:不死人形】

アマネアが天を仰ぎ、辺り一面を糸で覆いつくしたかと思うと、騎士の屍が糸で吊り上げられます。次第に、生きている頃と同じように動き出し、第二王子に跪きます。感情を失った顔は、先ほどと同じ人間には到底思えません。第二王子は恐ろしさのあまり、言葉が出ませんでした。

そうして、第二王子と騎士団は、誰一人欠けることなく王都に帰還しました。

〈予言:いくら新しくつくっても、失われたものは戻ってはきません〉

腹を満たしたアマネアは、子どもたちを"操り"、母の墓場へ帰っていくのでした。

〈予言:子どもたちは皆いなくなっていました〉
〈予言:あなたが守ろうとしたモノは、最初から存在していなかったのです〉


補足:子蜘蛛はアマネアが操る屍


ケダモノオペラ「饗応の試練場」おわり

伝説:英雄の母神





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?