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寝る前の読書記録 講師 斎藤幸平『100分de名著 ヘーゲル 精神現象学』

100分de名著。好きなNHKの番組の内の1つ。

ヘーゲルについてまったく予備知識はなかったが興味深い上に分かりやすいという初学者に打って付けの内容だった。

ヘーゲルが『精神現象学』を書いたのは37歳の時で当時は注目されていなかったそう。その理由の一つとして難解すぎたから。

ですがこの本では「ヘーゲル哲学のエッセンス」を講師の斎藤幸平さんが解説してくれておりとても分かりやすかった。

第一回から第四回の四部構成で、弁証法から相互承認まで分厚い精神現象学の内容をぎゅっとまとまっている。

全て書くことはできないから印象に残ったことだけを書く。

1つ目は論破をしたがる人について。ああいえばこういう空虚な議論をしている人が空虚でありそのような議論が社会に出回れば空虚さしか残らないという言葉にグッと来た。

そうそう!いつも論破について心に引っかかりはしていたけど言語化することができなかった。その一節を読んでいる時はとても晴れやかな気分だった。

それと同時に自分の考えが全て正しいなんてありえないと常に考えて思考のアップデートしなきゃと焦りも生まれた。

2つ目は終盤の相互承認について。

相互承認の過程でお互いの考えについて告白し自分の非を認めることが興味深く印象に残った。その理由は現実世界やSNSでのレスバトル(メッセージのやりとりで口論すること)を見ると自分の非を認められない人が多いからだ。現代で相互承認ほど難しいものはないのではないか。

詳しくはぜひ読んでほしいのだが、ヘーゲルは相互承認をする前提として良心を挙げた。そしてその良心を「行動する意識」と「評価する意識」に分けた。

この本では例として寄付を挙げている。「行動する意識」を持つ人はに寄付をしたことを善行だと考えるが、「評価する意識」を持つ人では寄付という大義名分を使って自身のイメージを良くしようとしていると批判する。

その後の過程は本当に面白いので自分の目で確認してほしい。僕は感動したのはそこで「行動する意識」と「評価する意識」が自己批判をし互いを尊重し合うことだ。月並みだがこれこそ現代の社会に必要不可欠ではないかと確信した。

この本の表紙には「分断を乗り越える思想 」「「相互承認」こそが、本当の自由を可能にする。」と書かれている。定価600円でこれが学べる。なんてお得でなんて良著なんだろう。

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