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板倉俊之
2021年12月16日 17:47
ローテーブルの前で片膝を立てて、僕はネタを考えていた。無音にしたテレビ画面には、津波の映像や、悲しみに暮れる人々が映っている。東日本大震災から、数日が経った夜だった。ゴールデンウィークに単独ライブを控えており、そのチケットはすでに発売されていた。僕はその台本を書かなくてはならなかったが、どうにも集中することができないのだった。こんなときに、自分はいったい何をやっているんだ?