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私の好きなもの -- 桜

はじめに。好きを再確認すべく、私のエモーショナルアイテムやエピソードについて書くことにしました。あくまで、私のエモとご承知おきください。
 
 
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気付いたときには、もう「一番好きな花は?」と聞かれたら「桜(ソメイヨシノ)」と答えていた。あの透けそうに薄いピンクが好き。花びらがはらはらと散るのも好き。水色の空との組み合わせも好き。
学生時代に北海道に住んでいたとき、ソメイヨシノが見られなくてちょっと悲しかった(今は温暖化で見られるようになっているらしい。いいのか悪いのか。だって、私が住み始めた頃は北海道ではお米が作れなかったのに!)
 

…ここからは私的な明るくはないお話になります。子供の病気の話等出てきますので、ご注意ください…
 
 
時が経ち、2月初旬のまだ寒い日、お腹の息子に「病気があるかもしれない」と言われた。紹介されるがまま4つめの病院で、4-5千人に1人に発症という難病であると判った。生後すぐに手術が必要なこと、予後の管理が難しいとのことで、横浜のこども医療センターにお世話になることに。医療セで改めて精密検査を受け、病気が確定したのが3月の頭、出産予定日までもう1ヶ月を切っていた。
2月当時の記憶は殆どない。何回もの検査、産休の引継ぎに加え、当時2歳イヤイヤ期真っただ中の娘のお世話に追われていたこともあるし、あまり考えないようにしていたのだとも思う。当然、悲しかったしショックだったし泣いたけれど、当時アナ雪に夢中だった娘が「ありのぉ~ままのぉ~~」「これでぇ~い~のぉ~~」(超低音ボイス+お経調)と歌っているのを聞いて、「…私がどんなに泣いても、息子の病気は治らない。だったら、できる限りの情報を調べて対処できるようにしよう」と気持ちを切り替えられた。娘のおかげで深い闇に落ちずに済んだ。娘にはとても感謝している。
 
そして医療セへの週1-2の通院が始まった。1人で運転すると、どうしても色々と考えてしまったが、そのときに私の心を和ませてくれたのが沿道の桜だった。
出産予定日ぴったりに息子が生まれ、すぐにNICUに運ばれた。息子が生まれた日も生後3日で手術を受けた日も、私はベッド横の窓から桜を見ていた。私だけ先に退院した日もまだ桜は咲いていた。息子の退院までNICUに通う中で桜は散ってしまったはずなのに、それは覚えていない。自分の記憶でしかないが、その年の桜は結構長くもったような気がする。晴れた日もそうでない日も、ただ静かにそこにあったピンク色を「毎年息子と一緒に見たいなあ」と思いながら通った日々だった。
 
とても幸運なことに、今や息子は指定難病持ちなんて思えないくらいに元気だ。今年も息子の誕生日に一緒に桜を見て写真を撮った。先日息子に桜が好きな理由を話してみたけれど、彼にはまったく響いていないようだった(笑)。それでいい。私は桜を見るたびに、あの冬から春の色々を思い出し、傍にいるピカピカの息子と娘に感謝する。
来年もその先も一緒に桜が見られますように。

いい風がふきますように✤