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素因数分解、因数分解

素数とは自分自身または1の他に約数をもたない1より大きい整数をいう。

そして任意の正の整数をいくつかの素数の積に書き表す方法はただ1通りである。そこで、このようにして得られる表示を素因数分解という。

(1を素数に含めると、1は何回かけても変わらないからただ通りという”一意性”が成り立たなくなるので、1倍は無視したいため1より大きい整数にしている。)

整数を多項式にした場合の話でいうと、整数の1は多項式の1(といっても定数そのものです)に、素数は既約な多項式に、素因数分解は因数分解に相当します。

では数学のこのような概念は一体何を言っているのでしょうか。

日常的に言えば、ある操作について、その操作を最も基本的な単位での操作たちに分解することを述べているともいえそうです。

例えばカレーを作るときに、ニンジン、玉ねぎ、牛肉、カレー粉、などという材料をそろえて、あとは鍋でぐつぐつ焦げないように煮込むわけです。これら材料を煮込む前にまず水で洗って、包丁で切る、皮をむく等の下ごしらえという細かい作業(タスク)が存在します。

この細かいタスクの集まりを適当な順番に一列に並べていけば、それがカレーの作り方を表していて、カレーの作り方に関してタスク分解したことになる訳です。このようなもうこれ以上分解できないタスクを既約なタスクと名付け、あるタスクをいくつかの既約なタスクに分解することを、既約タスク分解と名付ければよいでしょう。

ただし、ただ一通りの方法でしか分解できないわけでもないでしょうから、この場合その点で整数の素因数分解のようなもうこれしか分解のしようがないという強い内容ではないですね。

また、タスクとタスクの順番を入れ替えたら、カレーの作り方にならないこともありますから(例:鍋に具材を入れたあと、具材を水で洗う訳にはいかない!)整数と整数の掛け算の順番を入れ替えてもよかった話がここでは成り立たないことも注意です。

何を基本単位にして分解するかにもよります。正の整数にも1という正の整数を使えばそれを何回か足すことにより、任意の正の整数は"分解"されます。足し算での基本単位が1ですが、掛け算での基本単位は素数な訳です。

そう考えていくと素因数分解とは単なる分解ではない、何か特殊な事情があるというのがわかると思います。

この辺の事情については改めて別タイトルにて考察してみようと思います。



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