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積分

積分は函数fから新しい函数Fを得る手続きで、その手続きはいささか怪しく感じるかもしれないが、「分かった積り」にはなれるという。その手続きをリーマン(Riemann)の方法で述べよう。

実数の部分集合から実数への函数fがあるとしよう。簡単のためfは区間I上で定義されているとしよう。区間とは任意のIの2点について、その間にあるような点もIの点になるような実数の部分集合をいう。

さて、このときfのI上の定積分の定義を行おう。

(1)函数fの定義域Iをいくつか有限個の小区間に分割する。

(2)各小区間ごとに点を任意に一つずつ取る。この点をこの小区間に対する代表点と名付けよう。

(3)各代表点における函数fの値とその点が属する小区間の長さの積を取る。

(4)こうして各小区間ごとに得られた積をすべての小区間にわたって和を取る。

(5)ここまでの(1)~(4)の操作により、Iの分割と各代表点の集まりにより積和の値が決まった。小区間の幅が小さくなるよう分割を細かくして、かつそれぞれの小区間に対する代表点の取り方によらずにこの積和がある一定の値に収束するならば、その極限値をfのI上の定積分という。

この定義は「収束する場合」にいうので、実際収束するのがどれくらいあるのかというのは気になるが、例えばfがI上で連続な函数であれば、その極限値は存在することが知られている。つまりfはI上定積分可能であると分かる。このため多項式、指数函数、三角函数、対数函数、有理函数、無理函数など、よく使う函数は連続函数だから実用的にはこの定義で大部分がカバーされている訳です。

fの定義域Iの部分集合でI’をIの左側の端点からIの右側の端点よりも小さいx以下の区間に制限すれば、fのI’上の定積分は変数xの函数になる。そこでこれをF(x)と記そう。xが特にIの右側の端点であればF(x)はfのI上の定積分に他ならない。

こうしてFという函数が得られた。この手続きをfの積分という。

さらに同様にして左側の端点も変数x’に置き換えてI’の部分集合I’’(=x’からxまでの区間)を構成すると、fのI’’上の定積分が2変数x’とxの函数として得られる。この函数を一旦Gと置こう。

区間I’’は区間I’からIの左側の端点からx’までの区間を取り除いたものであるから、結局G(x’、x)の値はF(x)-F(x’)となる。よってGはFで表される。

なお、特にfが定値函数1であれば区間I上のfの定積分は、区間Iの長さを得る。

さて結局のところ、積分の核心部分は「積和の極限」ということであるから、fが1変数函数でなくて、多変数函数でも同様に議論できて、例えば2変数函数の場合は区間Iの代わりに連結な領域Dの中で同様の考察ができて、やはり「積和の極限」が存在するとき、その極限値をfのD上の定積分と定義される。そのときIの分割に相当するのは領域Dの細かなメッシュになると考えるとよい。

なお、特にfが定値函数1であれば領域D上のfの定積分は、領域Dの面積を得る。

以上のリーマン積分の詳細については解析の教科書によく書かれているので、きちんと定式化したものを確かめる際はそちらをご覧ください。

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