私にとっての合気道

2月に先生が体調を崩して入院した。
先生が不在でも稽古は続けられたのだが、
稽古に参加していて思ったことがある。

あの先生が居たから合気道を続けられていたのだと。

あるとき
「レディース教室を木曜日10時から始めようと思います。」
と先生が言い出した。
わたしは大喜びしたのだが、
よくよく考えると
女性会員は数人しかいないうえに
ほかの方は自営業でもなければ専業主婦でもない。
学生だったり、仕事をしている。

ふたを開けてみると先生にマンツーマンで教えてもらえる
「貴重で最高な稽古日」となった。
普段の稽古では先生がお手本を見せ、
「では皆さんやってみてください」といった形なので
先生に組んでもらって
手取り足取り教えてもらえるのは稀なのである。
理解力の乏しいわたしには
大人数の中での稽古は難儀だったりする。
そして、組んだ相手によって重視していることがちがうので
わたしの中の基準があやふやになりやすかったりもした。

マンツーマンの利点は質問があればすぐにできること。
ほかの方に指導を受けて疑問に思ったことを
先生に投げてみて
自分の中の基準を固めることができること。
そして、技を覚えていくうえで大切なこと
本質的なことを学ぶ機会になっていた。

わたしのなかで「稽古に対する心構え」が
形づくられた
ように思う。

それはふたつある。
ひとつは素直であること。
もうひとつは、
「先生は何を伝えたいのか」
「この動きはどんな意味があるのか」
と、表面だけでなく見えない部分を意識すること。

だからか、先生が不在の稽古はなんだか物足りなさを感じた。


そんなとき、前から気になっていた
「投げっぱなし合気」という
言うなれば「フリースタイル合気道」を
体験しに行くことにした。
「誰でもその日に投げれるようになる」という
おもしろい宣伝文句に興味深々だった。

その場所は新宿だったのだが、
会ってみたい人がいるとわたしのフットワークは軽くて
家族を説得して晴れて行けることになった。
(どうせ止めても行くんでしょ?といったむしろあきらめ、呆れられでもあるのかもしれないが)

いざ参加してみると、先生の和やかさに驚いた。
参加者も武道初心者や普段運動をしていない人、
キックボクシングをやっている人など様々だった。

そこで自分にがっかりしてしまったことがあった。
それは、先生に「何か技をやってみてください(力量を見たかったのだと思うが)」と言われたとき全く動けなかったことだ。
「こて返し」という技をしようと思ったのだが
動きのスタートをどのようにしたらいいかが
全く頭に浮かばなかったのだ。

そもそも合気道は技をかける人は攻撃者ではない。
攻撃者がいて、それをさばきながら技につなげていくものだ。
普段の稽古でも
導入(攻撃者がとる行動がパターン化してある)があって
攻撃者を崩す動作があって
最後に技につなげていくのだが、
そもそも攻撃をされない状態で
技をかけるという経験がわたしにはなくて
全く動くことができなかったのである。

「わたしは2年以上も何をやっていたんだろう」
不甲斐なさがわたしの中をかけめぐっていた。

この体験はわたしにとっては衝撃的なものであり、
好奇心が刺激されて心躍るものでもあった。
「実際に使うことができなければ意味がない」
ということを肝に銘じた日にもなった。


7月から4か月ぶりに稽古が再開された。
この4か月で稽古内容やそもそもの取り組み方が
がらりと変わってしまった。

先生は退院したものの点滴通院をしていて
コロナ感染を危惧しているので
稽古には来ることはない。
70歳を迎え
体調を崩す前はバンバン受け身を取り
覇気がありとても70歳には見えなかった先生も
やはり年齢と現状を鑑みると
稽古に来るのはむずかしいのだろう。

コロナ後、組み稽古ができなくなった。
それに代わって木刀の稽古が中心になった。
組み稽古ができなくなって気づいたことがある。
わたしは体術が好きで
合気道をやっているのだなということだ。

礼を重んじる形式的な合気道を学びながら、
形式にとらわれず本質的な合気道も学ぶこと。
あきっぽい私には、
違う切り口で合気道を学ぶことが
自分をあきさせないためには必要なのかもしれない。

だが、わたしはこの状況下での合気道を
自分の中でどのような位置に置くかのか
計りかねてしまっている。


《 おまけの話 》

袴の畳み方を知っているだろうか。
独特でなんとも小難しく感じる畳み方なのだが
はくときにはそれが「理にかなったことだ」
ということがよくわかる。

画像1

まず、しわになりにくいこと。
そしてこの独特の腰ひものまとめ方だが、
軽く上下にゆすると
ぱらりとほどけるようになっているのである。
よく考えられたものだと、袴を畳むたびに感心してしまう。


今日もあなたに心の安らぎと幸福感が訪れますように♪



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