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情熱の仏、阿弥陀仏④:微笑み

前回は「三誓偈」を通じて阿弥陀仏の誓いを見ていきました。今回はこのシリーズ最後となります「東方偈」です。梵文無量寿経では2つの別々の部分に登場する偈文なのですが、仏説無量寿経(康僧鎧)ではこの2つが組み合わされています。
前回、前々回の偈文は阿弥陀仏(法蔵菩薩)が詠っていたのに対し、「東方偈」を詠っているのはお釈迦様です。特に前半部分は説明的ということもあり、阿弥陀仏がクローズアップされた部分を抜粋し、私が翻訳したものを掲載します。特にお経の説明もなく直接「東方偈」に移りたいと思います。

ここまで偈文を通じて阿弥陀仏の思いを感じ取ってきたわけですが、「阿弥陀仏さん、まじイケメンやん」という思いがどんどん強くなっていきました。それでは、「東方偈」(一部)をお楽しみください。

東方偈

阿弥陀仏が微笑むと
限りない光が
その尊い顔から放たれた

それらの光は
無数の世界を照らした後
世尊の額に戻ってきた

ちょうど光が消えたとき
神々や人々は今起こったことを知り
心に喜びを感じた

名のある仏弟子が立ち上がった
その名を観音菩薩といった

「聖なるお方よ、どのような理由で
世界を導くあなた様は微笑まれたのでしょうか
最勝の導師よ、お説きください

利益をもたらし憐れみをなし
多くの生きる者たちを解放するお方よ
あなた様の最上の喜びをもたらす言葉を聞けば
すべての者たちの心に喜びがもたらされるでしょう

多くの世界の悟りを求める者たち
阿弥陀仏に会うために極楽への道を歩み出した者たちは
すばらしく喜ばしい言葉を聞けば
すぐに極楽浄土を想起することでしょう

さらに、この最勝の地に到達したならば
すぐに仏に備わる不可思議な力を、すべてを見通す眼を、
すべてを聞き取る耳を手に入れ
過去生を忘れず、他者の心を知る力を得ることになるでしょう」

そのとき、阿弥陀仏は語り始めた
「その理由は、過去に立てた私の誓願です
私の名を聞いただけの者であっても
必ず我が国へ来られるようにするにはどうすればよいかと考えていました
そして、その輝かしい誓願が成就したのです

また、さまざまな世界からやって来る者たちは
私の元で速やかに
決して仏への道から外れない、
迷いの世界に二度と戻ることのない力を手に入れることでしょう」

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