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情熱の仏、阿弥陀仏②:決意

前回の続きです。阿弥陀仏はどのような想いを持った仏だったのか、仏説無量寿経の偈文を元に探っていきます。今回紹介する偈文は「歎仏偈」あるいは「讃仏偈」と呼ばれるものです。仏を称える詩ということですが、どのような経緯で詠うことになったのかをまず見ていきます。

経緯については漢文と対応箇所の梵文和訳(中村元氏)を併記し、歎仏偈については梵文無量寿経(藤田宏達氏校定)を私が和訳したものを掲載します。

私のサンスクリット語のレベルはまったく低く恐縮ですが、ぜひ法蔵菩薩(阿弥陀仏)のロマンチックな表現と熱い決意を感じ取っていただければと思います。

阿難(アーナンダ)の問い

今日世尊。
諸根悦豫。姿色清淨。光顏巍巍。
(中略)
唯然大聖我心念言。
(中略)
去來現在佛佛相念。得無今佛念諸佛耶。
(中略)

於是世尊告阿難曰。
云何阿難。諸天教汝來問佛耶。
自以慧見問威顏乎。

阿難白佛。無有諸天來教我者。
自以所見問斯義耳。

佛言。善哉阿難。

佛説無量壽經卷上、康僧鎧

「尊き師おんみの感官は静かに澄み、顔の色はまことに清らかに、
また肌の色はまことに清らかに、顔の色は黄色な光を帯びております。
(中略)
わたくしにはこのように思われます―――
(中略)
過去・未来・現在の如来・敬わるべき人・正しく目ざめた人たちのことを思いつめられているのだ―――と。
(中略)

このように言われたとき、
師は若き尊者アーナンダに向かってこう言われた―――
「その通りだ、アーナンダよ、その通りだ。
しかし、神々がこのことをそなたに告げたのか、
あるいは尊師・目ざめた人たちがこのことをそなたに告げたのか、
それとも、そなたは現在起っているみずから考察する判断力によって
このように知ったのか。」と。

このように言われたとき、
若きアーナンダ尊者は師に向かってこのように言った―――
「師よ。神々がこのことをわたくしに告げたのでもなく、
世尊・目覚めた人たちが告げたのでもありません。
まことに、師よ、内的な自分の判断力によってこのように思ったのです」
(中略)
このように言われたとき、師は若き尊者アーナンダに向かってこう言われた―――
「その通りだ、アーナンダよ、その通りだ。
そなたの言い出し方はみごとであった。」

浄土三部経(上)、 中村元・早島鏡正・紀野一義 訳註

釈尊、語る

阿難諦聽。今爲汝説。對曰唯然願樂欲聞
佛告阿難。乃往過去久遠無量不可思議無央數劫。
(中略)
爾時次有佛。名世自在王
(中略)
時有國王。
聞佛説法心懷悦豫尋發無上正眞道意。
棄國捐王行作沙門。號曰法藏。
高才勇哲與世超異。
詣世自在王如來所。稽首佛足右遶三匝。
長跪合掌以頌讃曰

佛説無量壽經卷上、康僧鎧

だから、アーナンダよ、よく聞きなさい。
また、よく心せよ。わたしはそなたのために説こう。
(中略)
師はアーナンダに向かってこのように言われた―――
アーナンダよ。昔、過去の時、今を去ること無数劫の、
さらに無数・広大・無量・不可思議の時
(中略)
ローケーシヴァラ・ラージャ(世間において自在である王、世自在王
という名の如来・敬わるべき人が世に出られた。
(中略)
そのとき、また、かの敬わるべき人・正しく目ざめた人・
ローケーシヴァラ・ラージャ如来が教えを説かれたときに、
きわめて記憶力のある、理解力のある、叡智のある、
きわめて努力精進する、高大な理解力のある、
ダルマーカラ(法蔵)という名の修行者がいたのだ。

アーナンダよ。そのとき、かの修行僧ダルマーカラは座から起ち上がり、
一方の肩に上衣をつけ、右の膝頭を地につけ、
この世尊ロケーシヴァラ・ラージャ如来に向かって合掌し、
世尊に敬礼し、実にそのときに面前において、
このような詩句によって讃えて言った―――

浄土三部経(上)、 中村元・早島鏡正・紀野一義 訳註

歎仏偈

あなたの放つ輝きは限りなく、あなたの真実を見通す力は果てしない
この世界にはあなたのように輝きを放つ者は誰一人としていない

太陽や宝石の煌めきも、月の明かりも、あなたの前ではその輝きを失ってしまう

最高の悟りを開いた者の姿は果てしなく、その声も無限の響きを備えている

あなたのように正しい行いを為し、集中し、真実を知り、不断の努力をする者はこの世界には存在しない

あなたが明らかにした真実は、深遠、広大、緻密であり、あなたの心はまるで大海のようだ

それでもあなたは高慢になることなく、汚れた荒野を離れ彼岸に渡った

王たる王であるあなたが無限の輝きで十方を照らすように
私も法の主である仏となり、人々を老死から解放したい

私は最上の布施、自制、正しい行い、忍耐、努力、瞑想、集中を持って
これを誓い、一切の生ける者たちを救う仏になる

ガンジス河の砂の数ほど多くの百千万の諸仏を私は崇拝し
無比であり卓越した最上の智慧を求めて歩む

ガンジス河の砂の数ほど多くの地と、それをさらに超えて広がる世界
そのすべてに私は輝きを放つ、その思いで私は足を踏み出す

私が作り上げる地は、この世のなによりも優れ、卓越したものにしよう
悪に染まり涅槃の安楽が得られぬ地を清らかにしよう
十方から来る者たちが即座に安楽を得られる地にしよう

仏であるあなたは私の理想であり、また私が発したこの思いの証人である

世界について知り、囚われのない心で真実を知る者たちにも常に私の思いを知っていてほしい

たとえ無間地獄に落ちようとも、そこに永遠に囚われることになろうとも、私はこの思いを翻さない

私の第一印象

こんなん、惚れてまうやん。


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