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【音声YouTube】既存コンテンツも見せ方を工夫するだけで再生回数やクリック率が上がる

音声プラットフォームVoicyでコンテンツ制作をしているワタナベです。
このnoteでは、いま取り組んでいるYouTubeの改善について書きます。自分たちの備忘録ではありますが、YouTube運営や音声コンテンツ制作をしている方の参考になればうれしいです。

対象にするチャンネル

さて、まず今回のテーマで取り上げるコンテンツがこちらのチャンネルになります。

大阪のラジオ放送局 ABCラジオさんと共同で企画している番組で、ラジオとVoicyの両方で音声を配信しています(Voicyのチャンネルはこちらです)。内容は1時間のトークで、Voicy代表の緒方と、週替わりのゲストが話す構成になっています。

この番組のアーカイブをYouTubeでも配信しており、音声にサムネイルをつけ、動画として投稿しています。放送開始は2022年の4月。ラジオ放送と同時にYouTubeでの展開も始めたので、2023年2月現在で約1年ほど運営してきたことになります。



改善着手の経緯

この番組の特徴は、各分野のトップを走っていると言ってもいいゲストの方々。下のスクショの範囲でもピアニストの角野隼斗さん、プロデューサーの佐久間宣行さん、コテンラジオ深井さん、書道家の武田双雲さん、日本アカデミー賞を受賞したのんさんと錚々たる顔ぶれ。

この音声、ラジオやVoicyでは一定以上の水準で再生されており、コンテンツの力によってリスナーが集まり始めていました。

一方、YouTubeはまったく勝手が違いました。とにかく再生数が伸びなかった。(Voicyの中の人として言うのは悔しいですが)プラットフォームのユーザー数で言えばYouTubeの方が上。なのに、再生数が伸びません。厳しい言い方をすれば、番組を作っても再生されなければYouTubeには存在しないも同じです。

「すごく良い番組なのになぁ…」

と、自分だけで思っていてもなんの役にもたちません。良い(と思い込んでいる)コンテンツを作ったら、せめて触れてもらいたい。中身はそのうえでジャッジしてほしい。これが作り手としての思いであり、YouTube改善に着手したきっかけです。

もちろん大前提として、動画として広まることが音声の魅力を知ってもらう1つのきっかけになるとも考えていました。この改善でVoicyや音声の魅力を多くの人に感じてもらえたらゴールです。


改善したこと

こうして始まったプロジェクトですが、今回は「すでにあるコンテンツの改善」を進めていくことにしました。時間や予算の制限もありますし、初めから「YouTube用に新たに動画も撮りましょう!」では、我々Voicyが音声を事業にしている意味がありません。

それに、すでに配信しているアーカイブには前述した通りの豪華な出演者と濃いトークがあり、それを活かせないようじゃ今後何をやってもダメだろうという危機感もありました。

既存コンテンツの出し方と見せ方を工夫するだけでユーザー数を増やせるか?これが今回のチャレンジです。この条件で即効性がありそうなことを考え、実行していきます。

まず見せ方の面で変えたのはサムネイルです。以前は出演者の写真に小さくテーマを掲載しただけのシンプルなデザインでしたが、これを刷新。色使いや文字サイズに手を加え、より目立つものへと変更しました。

これだけで動画が伸びるほど甘くないでしょう。とはいえ、見つけてもらわないと話にならないのも事実。まずはユーザーの目に留まるようなデザインへとサムネイルを変更しました。


続いて、出し方も改善します。

そもそもこの動画のソールがラジオアーカイブなので、30分〜1時間の音声をそのままYouTubeにも掲載していました。しかし、音声だけの長尺コンテンツに触れてもらうハードルはめちゃくちゃ高かかった。そのハードルがあるこそShort動画が生まれたりするわけで、そんな市況の中、ただ音声を聴いてもらおうというのは都合が良すぎたのかもしれません。

というわけで、既存のラジオのトークから、キャッチーなパートを数分のみ抜き出して動画化することにしました。ややベクトルは違いますが、テレビ番組の「すべらない話」のようなイメージです。

この短尺音声に、先ほどの新しいサムネイルを組み合わせて動画を作っていきました。短尺は内容で分けたり、ラジオのコーナー単位で分けてみました。

そんななかから、ついにヒットする動画が生まれます。

演出家の堤幸彦さんが映画 SLAM DUNKを見た感想を語るこの動画は、公開から3週間で5万再生に迫っていて、番組アカウントでは最多の視聴回数を獲得したコンテンツになりました。

こうした短尺動画の制作と並行して、従来の30分〜の長尺アーカイブも整理していきます。サムネイルを新しいフォーマットに入れ替え、30分のトークに細かくタイムスタンプをつけてチャプターを分けました。

優先順位は作業時点で視聴数の多いものからとしました。視聴数が多い=内容がすでにYouTube上で一定の評価を獲得していると思われますし、(改善に効果があるとすれ)ばその反応も早く見られはずです。

このタイムスタンプ単体で劇的な効果があるとは思っていませんが、動画と出会った人が「この部分だけ聴いてみようかな」と思える可能性もゼロではないはずです。

なにより、こうしたユーザーに対する気配りやサービス精神の結晶が結果ではないか?そう考え、コンテンツやチャンネルの作りに細かい修正を加えていきました。

結果

YouTubeの運用開始が2022年の4月。今回の改善開始が2023年1月中旬。このnoteを書いているのが2023年2月なので、プロジェクト開始からちょうど1ヶ月ほど改善をした結果をまとめます。

スクショの赤枠で囲ったところが改善後の数値です。まず視聴回数。

具体的な数値は出せませんが、この2月は、これまでの月間最高値だった2022年12月を見事に超えました。執筆時点で2月はまだ1週間ほど残っていることを考えれば、今の再生ペースなら12月の1.5〜2倍程度の再生数になりそうです。

続いてインプレッションのクリック率。サムネイルを見た人のうち、どれだけの人が再生したか?の数値で、サムネイルやタイトルのパワーといった動画の引力が試されます。

こちらも2022年の水準の2倍程度に改善。ラジオアーカイブというコンテンツ自体は変わっていないので、サムネイル改善の効果がハッキリ出た指標と言ってもいいのではないでしょうか。


さらにコンテンツの平均再生率も上昇。ただ、これは短尺の動画が増えたことも要因としてあるはずなので、改善されていなきゃおかしい数値とも言えますね。

ご覧の通り、改善後の2023年2月数値は、これまでの番組レコードを大きく更新。これまで1年間がほぼ無風だったので、当たり前ですが「手をかければ結果が出るんだなぁという」感想です。


数値が改善した指標が多くある一方で、まだ過去の最高値を更新していないものもあります。たとえばインプレッション数。

2月もこのままいけば2022年12月を超えそうなのですが、ほかの数値と違い現段階で超えておらず、なにかしら改善不足な点があるのかもしれません。


まとめ

以上、音声コンテンツのYouTubeの改善メモでした。

音声ということでやや特殊かもしれませんが、私たちがやったのは「すでにあるものの出し方を変える」のみで、人件費以外の予算や新規撮影はしていません。言わば素材の調理方法を変えただけでこれだけの改善が出来ました。

一般に伸びにくいと言われる音声も、こういう工夫を重ねることで広がっていく余地はまだまだあるんだと思います。このnoteを見てくれていて、制作に関わっている方。ぜひ、今のコンテンツの出し方にも頭を捻ってみてはどうでしょうか。

今後もこの番組では音声+動画での展開を続けていくので、効果的な施策を見つけたらまたシェアできればと思います。YouTubeチャンネルやVoicyチャンネルをウォッチしていただくと、その起こりや試行錯誤も感じ取ってもらえるかもしれません。

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