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新生活様式にあわせたブランド訴求を考える・・・

ブランドは、新しい商品・サービスのマーケティング・コンセプトをテストするために、リアルな店舗やイベントなどの接触型のマーケティングを主力として展開してきた。

ところがこのコロナ禍で人の移動に制限がかかり、不要不急の外出が減り、通勤通学の移動さえも減っている。街に人が繰り出さなくなってきている。大規模なイベントも軒並み中止に追い込まれている。

新生活様式にあわせたブランド訴求を、さてどうしたものか・・・・

コロナ禍においても、デジタル戦略をうまく展開し、売上を大きく伸ばしたいわゆる勝ち組企業も数多くある。


米国で最も古い小麦粉会社であるキング・アーサー・フラワー社は、パンデミックの影響で家庭でのパン作りが急増したのをいち早く検知した。隔離期間中、実店舗での販売に頼ることができなかったキング・アーサー・フラワー社のデジタルチームは、オンラインで需要を喚起し、新しい有名人のベーキング・シリーズやその他のクリエイティブで関連性の高いコンテンツをサイトに公開した。その結果、同社の売上は前年比で200%増加し、ウェブサイトのセッション数は260%急増となった。

多くの企業はこのような事例を知り、我が社もデジタルに乗り出せ!デジタルトランスフォーメーションだ!と活動し始めるが、まず多くの企業が頓挫することが予想できる。なぜかって? そりゃあ、デジタルという手段に傾倒しただけだから。”仏作って魂入れず”ってやつだ。


1、リアルをデジタル化するのか、デジタルとリアルを融合するか


デジタイゼーション(Digitization)とデジタライゼーション(Digitalization)。


リアルをデジタル化するのがデジタイゼーション。ユーザーとの接点となるユーザー・インターフェイス(User Interface/UI)、例えば実店舗をEC化するなどにより、効率化や合理化、あるいは付加価値の向上に寄与する場合に使われる言葉だ。これは、How/Whatをデジタル化しただけの話。

一方のデジタルとリアルを融合するのが、デジタライゼーション(Digitalization)。デジタル技術を利用してビジネス・モデルを変革し、新たな利益や価値を生みだす機会を創出する場合に使う。これは、How/Whatのデジタル化ではなくWhyを再定義・再構築することが必要といえる。その意味ではデジタルトランスフォーメーション(DX)は、このデジタライゼーション(Digitalization)が必要条件といえる。

2、顧客体験を重視する


先のキング・アーサー・フラワー社の例をみても、単に小麦粉の紹介やパン作りの方法をわかりやすく伝えるだけではない。パンデミック下での家族の健康や、一緒にパン作りをすることで子供への情操教育など、顧客体験を価値として伝える、これこそが、顧客視点で選ばれる理由(Why)ではないだろうか。


別の例としてあげるなら、タクシー vs Uber。どちらもA地点からB地点まで乗客を移動させる手段。しかし実際には、Uberは、プレミアムな顧客体験として際立っている。モバイルアプリケーション、Eメール、テキストメッセージなど、あらゆる点でパーソナライズされている。

3、データのインテリジェントな分析


パーソナライズされた顧客体験の分析は、巨額のシステム投資を行うことができる大手企業が持つ、特定のブランドのみが利用できるという、一般企業にとっては敷居の高いものだった。だが今日、クラウドとオープンソース・ソフトウェアのおかげで、どのような企業でもテクノロジー主導の意味のある顧客体験を提供することが可能となった。しかし、パーソナライゼーションを実現するには、組織が顧客データを高度に管理・運営することが重要となる。

4、テクノロジーマーケターの台頭


どんな膨大なデータもそれを分析する能力が必要だ。AIや機械学習を取り入れる必要もある。そもそもAIや機械学習に元となる教育データの流し込みも必要だ。それらができる人材を確保することが極めて重要といえる。一方、それらの人材は、貴社における主流業務ではなく外部に頼らざるを得ない。その背景もあり市場的にもデジタルマーケターの絶対人数が不足している。

5、PDCAからOODAへ


ビジネスパーソンであるなら、「PDCAサイクル」については十分に認識していると信じている。では「OODA(ウーダ)ループ」という言葉はご存知だろうか?
O:Observe(情報収集)
O:Orient(状況判断)
D:Decide(意思決定)
A:Act(行動)

PDCAサイクルは、業務改善や製品の品質向上などについてはいまもある程度の力を発揮する。ただ、計画するには長い時間が必要だ。いまはこれまでとは時代が違う。社会の動き、技術革新のスピードがどんどん上がり、悠長に計画して実行して評価して改善して……つまりPDCAでは、時代の流れに置いていかれてしまう場合もあるということだ。

一方のOODAループは、まずは情報収集し、いま置かれている状況を知る。そのなかで取るべき最適な行動は何かと判断・決断する。計画ありきではなく状況ありき。だからこそスピーディーに動ける。それが、いまの時代にマッチしている。

例えるならばPDCAは平時に強い武器、OODAは有事に強い武器といえる。今は先の読めない有事の時代。このOODAループを機動的かつ自律的にまわせす組織と人材が勝ち組企業の大きな要因となるだろう。

まとめ


コロナ禍により新生活様式に変化した。これを受け、企業・商品サービスのブランド戦略も抜本的に改革することが求められている。
①デジタルとリアルを融合するデジタライゼーション(Digitalization)を再設計し、②Whyを突き詰め顧客体験を演出し、③インテリジェントな分析と、④それができる人材の調達、⑤そしてそれをOODAのような機動的に運用する体制つくり が新生活様式にあわせたブランド訴求には必要ではなかろうか。



参考資料:
https://digiday.com/sponsored/from-pop-up-to-permanent-three-trends-driving-digital-transformation-in-2020/
https://studyhacker.net/hiroyuki-kobayashi-interview01


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