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百聞も一見も楽しい!-ミュージカル『RENT(レント)』の、25周年記念Farewellツアー

今回は先週見たブロードウェイミュージカル『RENT(レント)』25周年記念Farewellツアーについて書きます。
この作品は10年以上前に映画版を見て感動し、それから何回もCDを聴いていたのに、舞台を見て新たな発見があり驚きました。以下ネタバレがありますので、それが大丈夫な方はお読みください。

・ミュージカル『RENT(レント)』とは?

以下がとても簡潔な説明です。

プッチーニのオペラ「ラ・ボエーム」原案のミュージカル。貧しくも自由な芸術家たちが、真の愛、薬物中毒、エイズを抱えながら、ニューヨークを懸命に生きる。

https://www.netflix.com/jp/title/70021658

・・・そう、概要だとその通りなのですが、その「懸命に生きる」姿が本当に胸を打つのです。それは脚本のみならず、作詞・作曲を手掛けたジョナサン・ラーソンさんの音楽や歌詞がものすごく良いからだとも思います。この作品はトニー賞やピューリッツァー賞受賞し、映画化されるなど「伝説のミュージカル」と呼ばれています。

もう少し詳しい説明は、以下をご覧下さいませ。

その大好きな『RENT(レント)』を劇場で見て、気づいたことを以下に書きます。

①場面展開がすごくいい!

一つ一つの歌のつながりは分かっていたのですが、その場面展開のメリハリが凄く強い部分があり、とてもインパクトがありました。
特に息を飲んだのは、’Life Support’から’Out Tonight’に変わる場面でした。HIV陽性の患者たちが、互いの不安を共有しながら静かにコーラスしている・・・所から、ガツン!とロック調の曲がながれ、ミミという登場人物の踊る場面に変わります。

その急展開にテンションがぐわっ!と上がったのですが、HIVで死ぬかもしれないと言う不安を持っているのは、ライフサポートで集まっている人たちもミミも同じだと後で気づきました。不安を皆で解消しようとしている人たちと、誰にも言わず違う欲求でその不安をやっつけようとするミミの鮮やかな対比。でも、ミミは1人でその不安を抱えきれずその後違法ドラッグに頼ってしまい、心身を蝕まれていきます。それが分かっているので、ミミがこの曲をハイテンションで踊り歌うのを見ると、切なくなったりしました。

②みんな平等という描き方がすき!

‘Seasons of Love’と言う歌は、とても有名です。これはキャスト全員で歌うことは知っていましたが、舞台を見て別の意味を感じました。

それは今回のミュージカルのパンフレットを読んでいた時に、この歌からリハーサルが始まったと説明され、その意図として「すべてのキャストがこのミュージカルでとても重要な役割を担っていて、ここにはヒエラルキーなんか存在しないんだと分かってもらいたかったんだ」と演出のマイケル・グライフさんが語ったと書いてあったためです。

それをヒントに舞台を見ると、確かにこの歌を歌うときにキャスト15人が1列に並んで、メインキャストも、名前がないキャストも一緒に歌います。そして名前がないキャストの人も、とても声が素敵だったり、歌が上手かったりすることに気づいたりしました。この歌は1年をどう測ろう?と問いかけていますが、どんな人にも1日は24時間、という点は平等だなと感じたりしました。

何というか、RENTでは人々が随所で平等に描かれている気がして、ジョナサンさんは一人一人を大切にする人だったのかなと勝手に感じています。お金を持っていようがなかろうが、異性愛者・同性愛者のどっちだろうが(もしくはどっちもだろうが)、みんな生きていてる。そして強いところも弱いところも、良いところも悪いところもある・・・と感じるのです。そこに評価や優劣が提示されないと感じるのも、この作品が好きな点かもしれません。

③素敵な曲はまだあった!

映画版CDでは割愛されていて、劇場オリジナル版のCDでは一回聞いただけだった曲が、ストーリーで見ていくと理解出来て、ものすごく好きになったりしました。少しだけご紹介します。

・‘We're Okay’ インテリでブルジョアっぽいジョアンヌの、人間臭い部分が感じられて、楽しい曲です。

・‘Christmas Bells’ 舞台ではホームレスの人たちのコーラスが本当にキレイでした・・・そのコーラスから始まる、雪が町の人々の描写が生き生きとして、すごく好きになりました。

‘Over The Moon’。何かと破天荒なアーティスト・モーリーンによる、 意味わかんない歌No1だったのでした。が、舞台で見てそのシニカルな感じがすごい面白かったです。彼女の恋人のジョアンヌが、無表情で満月に見立てた丸い紙をモーリーンの背後で広げ、これまたそれほどやる気のない動きで紙で作った(?)しょぼい感じの牛をその月の周りに回らせたりしていたのが、じわじわきました。

↓映画版はこちらです。メロディーやキャストの声はこれが一番好きです。

↓映画版にはない曲が入っているのはこちらです。

・おわりに

今回改めて、百聞は一見に如かず、という言葉をかみしめました。観劇はお安くないので迷ったのですが、行って本当に良かったです。映像の「レント ライヴ・オン・ブロードウェイ」も見ていたのですが、自分で視点が動かせる舞台では、見えるものが違うのだなーとしみじみ思いました。

レントの魅力は書き足りないのですが、今回はこのへんで。。。
昔書いた、レントに関する記事も以下共有します。ご関心あれば、お読みいただけると嬉しいです。