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「ただいまアフリカ!元気だった?」の『ディリー、砂漠に帰る』

『砂漠の女ディリー』の続編、『ディリー、砂漠に帰る』について書きます。

大まかな内容は以下抜粋の通りです。(「BOOK」データベースより)

本書の著者は世界的ベストセラーとなった自伝『砂漠の女ディリー』において、遊牧民からトップモデルになった波瀾の半生と、自ら受けた女子割礼の実態を告白、多くの人々に衝撃を与えた。それから4年、長年続けてきた西洋での生活に疲れ果てた彼女は、自らを見つめ直すため20年ぶりに故国ソマリアへ飛んだ。懐かしい家族と再会し、砂漠の豊かな自然に触れ、ディリーの心は少しずつ癒されていく。しかしその一方で、部族間の抗争や根強い女性蔑視など、いまだ悲惨な現実の数々に、複雑な思いがこみあげる―。世界の矛盾と正面から向き合う著者の、まっすぐなひたむきさが胸を打つ感動の物語。

・・・ソマリアの悪魔「ジン」の話から始まる本書。

前作が出版された数年後、強い女性のイメージが強かったワリスさんは「ジン」の存在を感じ苦しみます。それは女子割礼の話をした後の、恥ずかしさと故郷の伝統に敵対する辛さを抱え嗚咽がこみ上げるホテルの部屋であったり、恋人と大喧嘩し別れを予感する家の中であったり。

母に会いたい、故郷が見たい。苦しいけれど今動きださなければ。そんな気持ちで苦労してやっとソマリアへ帰りつきます。

そこでは家族と再会する嬉しさ、変わらない女性蔑視への憤り、「女子割礼」告白への思わぬ反応・・・と悲喜こもごも体験されますが、いつも自分で道を切り開いてユーモアがあって何より故郷の良い所(大らかさ、自然と共にあろうとする気持ち、誇り高さ)を引き継いだワリスさんの文章を読んでいると何だか元気になります。

彼女の受けた、自分の国の文化や方法が理解されない苦しさや酷い差別に胸が痛むけれど・・それをはねのける強さ、優しさが際立っていました。

「♬ただいまアフリカ!元気だった?私は元気。あなたもそうだといいけどな~」故郷に帰った時に彼女の頭に鳴り響いたというこのアフリカの歌から、祖国への懐かしさや愛情がとても伝わってきました。

雄々しくも愛情あふれる彼女の未来に、多くの幸がありますように。