見出し画像

編集部ピックアップ『星の送り人』

 ステキ編集部の高橋です!
 12月になってしまいました! と書こうと思ったのですが、先週も12月でした。・・・・・・1年早すぎる。すぐおじいさんになってしまいそうです。

 それでは今週のピックアップ!

作品紹介

 ──どんな願いも、必ず手離さなければならない。そしてまた、新しい願いを紡ぐんだ。
 森深い辺境の地にある村では、五年に一度、流星群の日に星を空に帰す【星神祭】という儀式が行われていた。その村に住む少女セイラは、星を空に帰す役割を担う【送り人】の一族の末裔。15歳を迎える彼女は、今年はじめて【送り人】の担い手になる。
著:森山満穂


優しいヒロインと可愛いお星様

 星を捕まえ、奉る村のお話です!

 星を捕まえる? とはどういうことだろう? と思いましたが、なんてことありません。そのままの意味でした! ただ、この世界の星は、生き物のように漂い、人の言葉を理解してくれるようです。 彼らには願いを叶える力があり、村人は5年に一度星を捕まえては、今まで奉っていた星を夜空へ返す儀式をしているのです。

 主人公のセイラが星送りとして初めて儀式に参加するのですが、この星送り、めっちゃ手に火傷を負う! 星は熱いらしいのです。それを素手で捕まえて夜空に送り出さなきゃいけない。その為、長年この儀式を行ってきた父の手は傷だらけ
 それでもセイラは星守の誇りにかけて儀式に立ち向かいます。村のため、誇りのため、そして『星』のため。優しくて可憐なヒロイン、それがセイラ!

 でも、星、可愛い・・・・・・。いや、ホント! セイラが呼びかけると、明滅して返事をしてくれるのです。あと、捕まったというのにいじらしく神殿に鎮座しているというのもなんだか、応援したくなる!
 セイラも優しい女の子で可愛いのだけど、僕的には星推しです!

美しい世界観と美しい描写

 この物語は全編夜が舞台星空といった方が良いかもしれません。ファンタジーと星空の相性ってとても良いですよね! 冒頭から美しい光景の描写が続きます。ですが、なんと言っても目玉は『星神祭
 文章を読むたびに頭の中で組み上がる世界に光が増えていく感覚は、なんとも言えない没入感を生み出します。

 星神祭はそのほとんどが地の文で構成されています。描写に続く描写。これだけ続くと、読みにくいのでは? と思う人もいるかもしれませんが、合間合間に最低限のセリフが挟まります。そのセリフがまた良い! 頭の中に広がった世界を邪魔しない最低限の短いセリフ。
 淡々としていて、粛々としていて、荘厳な雰囲気を引き立てます。

 セイラの思いと村人達の願いを受けながら、星は旅立ち、新たな星を迎える。平和に対する優しい思いの詰まった、読んだあとにリラックスできているようなそんな作品です。


作品URL 
https://sutekibungei.com/novels/be2cf25a-06c7-4324-afcb-77b049901dd3

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?