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小説家中村航のおもしろい小説の書きかた【だれにでもできるプロットの作りかた】

中村さんが「だれにでもできるプロットの作りかた」を説明してくれましたので、テキストにしました。トークはYouTubeで毎週ライブ配信していますのでぜひ見てください。リアルタイムで質問などもできますよ。

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小説はおもしろくないといけません。おもしろくなかったら、読者が最後まで読んでくれないからです。プロットを作る目的は、小説をおもしろくすることです。言い換えれば、小説を最後まで読ませることだといえます。

小説のおもしろさとは

中村さんは、小説のおもしろさ(小説の読ませ方)は、次の3つに集約されるといいます。

1.現在がおもしろい
2.未来(結果)が知りたい
3.過去(理由・原因)が知りたい

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1.現在がおもしろい

小説のいま読んでいるところ、いま書いてあることがおもしろいということ。例えば、ここに出ているキャラクターが好き、作者のこの言い回しが好き、この表現が好きとか、いま読んでいるところにおもしろいことが書いてあると、読者は読むことをやめられません。

2.未来(結果)が知りたい

未来を知りたいという欲求がページをめくる原動力になります。言い換えれば、結果が知りたいということ。ジャンルでいえばサスペンスなどが該当するかもしれません。これからどうなっていくんだろうという興味が、読者にページをめくらせます。

3.過去(理由・原因)が知りたい

なぜこのようなことになったのか、理由・原因が知りたい。ジャンルでいえばミステリー。例えば、密室に死体があり、どうやって殺されたのだろう。なぜ殺されたのだろう。その経緯や、犯人はだれかを明らかにしたいという欲求が、ページをめくらせます。

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おもしろい小説とは

この1~3の要素がすべてあるのがいちばんおもしろい小説。3つあれば読者は読むことをやめられません。逆に、1つもなければページをめくる原動力がないので、だれも読みたがりません。

小説の全体でこの要素があることが大切ですが、同様に、章や段落でも、この要素があることでよりおもしろくなります(これについては、また別の回でご紹介する予定です)。

そして、プロット作りで大切なことは、「2.未来(結果)が知りたい」と「3.過去(理由・原因)が知りたい」をプロットにしっかり入れ込むことになります。いよいよ、プロットの作りかたです。

「メインプロット」「サブプロット」を作る!

未来と過去をしっかり入れ込むために、プロットを2つ作ります。「メインプロット」と「サブプロット」です。
そして、「未来を知りたい」と「過去を知りたい」の2つの欲求を「未来に向かうプロット」と「過去に向かうプロット」にします。

「メインプロット」を「未来に向かうプロット」にしたら、「サブプロット」は「過去に向かうプロット」。反対に、「メインプロット」を「過去に向かうプロット」にしたら、「サブプロット」は「未来に向かうプロット」です。

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例えば、ふたりの男女が登場するミステリーの場合。犯人は誰なんだろう・なぜ殺されたのだろうという謎(過去)を探るのが、過去に向かうメインプロット。そして、その謎を探る男女の恋の行方(未来)はどうなるのだろうというのが、未来に向かうサブプロットということになります。

プロットを2つも作るというと大変かと思われるかもしれませんが、1行で書けるもので大丈夫です。

プロットとクライマックス

「メインプロット」と「サブプロット」を作ったら、これらが交わる点を、小説の後半に持ってくるようにします。この交わる点がクライマックスになります。こうすることで、未来と過去が統合されたモダンでおもしろいプロットになります。

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例として、昔話の『桃太郎』を取り上げます。
『桃太郎』は、「桃から生まれた桃太郎が、鬼退治をして幸せに暮らす」という未来に向かうメインプロットしかありません。
モダンなプロットではありませんが、『桃太郎』の場合、「1.現在がおもしろい」が強烈なので親しまれているといえるでしょう(桃から生まれたという奇想天外さ。きび団子というアイテム。愉快なサブキャラ(犬・猿・雉)が付いてくるというキャッチーさで読ませる)

では、『桃太郎』をモダンなプロットにするためにはどうすればよいでしょう。それは、過去へと向かうサブプロットを入れることです。
桃太郎が”桃から生まれたこと”についての説明が一切ないので、なぜ桃から生まれたのか(過去)へ向かうサブプロットを作ってみましょう。

サブプロットの例:
「桃太郎が自分の生まれを知り、本当の力を取りもどす。」
・桃太郎は鬼族に滅ぼされた桃族の生き残り(桃族の王子)で、鬼の手にかけられないよう、桃に入れて川へ逃されたのだった。
・桃族の王子は、鬼を倒すことのできるすごい力を秘めている。

メインプロットの進行と合わせて、サブプロットに関することをちょいちょい挟んでいくことで、サブプロットも同時に進行します。

・「お婆さん、どうしてぼくは桃から生まれたの?」と桃太郎が問いかけるシーン
・桃太郎が猿と出会ったときに「そういえば桃族というのを昔聞いたことがあるな……」という意味ありげなセリフを聞くシーン
・桃族の本当の力らしき、すごい力を無自覚に発揮するシーン

クライマックスは、物語の後半。鬼と戦うところに持ってきます。お供の犬・猿・雉は鬼にやられ、桃太郎も絶体絶命のピンチ。ここで、鬼が「あのとき滅ぼした桃族の王と同じように滅ぼしてやる」と言い、それを聞いた桃太郎が、これまでの記憶や体験を蘇らせ、自分が桃族の王子であることを悟り、真の力を解放して鬼を倒します。

『桃太郎』がモダンな話になったのではないでしょうか(どこかで聞いたことあるようなストーリーではありますが笑)

まとめ

「メインプロット」と「サブプロット」で、”未来に向かいつつ、過去に向かう”、”過去に向かいつつ、未来に向かう”ということを意識して、大きな構造を最初に作ることが、よいプロットの作りかた、おもしろい小説の書きかたの第一歩となります。

みなさんもぜひプロットを作って、おもしろい小説を書いてください!



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