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Tissuebox

これは5年以上前の話。
ドクター「青柳さん、既に鬱の典型的な症状が出てますね。お薬始めましょう。」

は、何言ってんだ?と思った。
カウンセリングルームに着席してまず目に入ったのは、先生と自分の間に置かれたティッシュボックス。
「ははぁ、涙拭くために予めセッティングされてんのか。誰が泣くかよ、なめんなよ」
生前父が音楽の事何にも分からないのに欠かさずコンサートに来て、それは嬉しそうにニコニコ笑ってた事、生き残った母が実は老々介護で認知症が始まっていた事、そして身の回りの複雑な人間関係のもつれに苦しんでいた事を話していくうちに、気が付いたら何回もティッシュを取っては鼻をかんで、顔を拭っていた。
思いっきりドクターの前で声を出して泣いた後から、3年に及ぶ抗うつ剤治療が始まった(あれ、太るんだよなー、眠いし)。

鬱になるのは脆い人、自分には一生関係無いだろう、という既成概念は吹き飛んで、そんな風に思っていた自分を恥じた。
そして驚いた事に、100%下戸だった体質が変わって、どれだけでも飲めるようになってしまった。
現在は投薬は終わったが、飲み過ぎないように意識して休肝日を設けるようになった。

プロにカウンセリングを受けたほうが良いと思ったら、若い皆さん、それは恥ずかしい事でも何でもありません。誰でも風邪を引くように、心が疲れる時がやって来る事があります。私の場合は40代後半でしたが、今はすっかり元気ですよ。

少なくとも私は何の偏見も無いので、
胸につかえている事があったら話に来て下さい。結構、聴き上手ですよ。

心の痛みを知っている人、他人の心の痛みを理解してあげられる人に個人的に魅力を感じます。音楽家なら、痛みを表現出来る人の方が聴く人の心をより多く掴めるに間違いは無いのだから、凹んでも
それを糧にして音に色んな想いを紡いでいって下さい。

私は、痛みが自分の演奏の養分になったと確信してます。


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