「我が社の事業はSDGsの〇番に対応している」がESG開示にならないわけ
1,はじめに
サステナビリティにおけるリスクと機会ってなんでしょう?
上場企業のホームページによく見かける記述は、こんな感じなのですが…果たしてこれでいいのでしょうか。
リスクは「企業の」「事業継続の」サステナビリティを脅かすだけのものなのでしょうか。そして機会は「ビジネスチャンス」とだけとらえて良いものなのでしょうか。
2,参考になった本はこれ
そんなことを考えていたら、ありました。
私の悩みにきっぱり答えてくれている本が。
浜辺 真紀子「『株主との対話』ガイドブック: ターゲティングからESG、海外投資家対応まで」(中央経済グループパブリッシング、2023年)です。
著者は元ヤフー㈱(現Zホールディングス㈱ )ステークホルダーリレーションズ本部長ですので、現場の感覚が満載の本です。
3,参考になった箇所はここ
p.34~35が、まさに私の悩みへの答えが書かれている場所でした。
誤解のないように申し添えますと、冒頭でご紹介した企業さんも、実際の取り組みを拝見するとこのあたりはちゃんと理解していらっしゃるように見えます。ただ、書き方を間違うと残念な印象を与えてしまいかねないので、自分も十分気を付けなければと思った次第です。
4,規定演技と自由演技
サステナビリティ界隈ではこれらのワードもよく使われていますよね。規定演技と自由演技。これらはおおむね、
規定演技=制度や開示ルールへの対応
自由演技=自社らしさや独自の価値創造ストーリーなどの開示
といった意味で使われているように見えます。
ですが、この本では以下のように書いていました。広い意味では同じことを言っているのだとは思いますが、頭の整理という意味では、私にはこちらのほうがイメージしやすかったです(p.36~38)。
5,「我が社の事業はSDGsの〇番に対応している」の落とし穴
タイトルに関連する記述もご紹介しておきます(p37~38)。
負の影響を現に与えていること、あるいは与える可能性があること、まだできていないことなど、PR目線では書きたくない・言いたくないことがサステナビリティ開示には多く含まれます。
この認識をしっかり持った上で、コミュニケーションのベースを作っていくのがサステナビリティ報告には必要なのですね。改めて心に刻みました。
以上、サステナビリティ分野の仕事についたばかりの私の「1000日連続note更新への挑戦」23日目(Day23)でした。
それではまた明日。
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