わたしのゼミで、新聞記事をわたして、30分ディスカッションするというアクティビティを行うのですが、その題材として、選択的夫婦別姓を取り上げたことがあります(「夫婦別姓認めず 「期待 裏切られた」 特別抗告側 「世論に言及」評価も」2021.6.24『読売新聞』)。どのようにディスカッションするかは、参加者に任せるのですが、導入の是非について、ディベートが始まりました。そうすると、圧倒的に、選択的夫婦別姓を導入するという側が優位に立ったのですね。
・別姓を義務づけているわけではなく選択できるようにするだけ。
・日本の歴史をたどっても、夫婦同姓はたかだか明治以降の制度。
・法律で夫婦同姓を定めているのは日本だけ。云々。
夫婦同姓を維持すべきという側が、そのときに使った新聞から拾った理由が、
・家族の姓の喪失が社会的な混乱を招く。
という議論でした。すぐに「旧姓を使用することが認められているじゃないか。それで、社会的に混乱は起こっているのか」と反論を食らいます。新聞をみると、そのコメントをしたのが、八木秀次麗澤大教授でした。憲法学を専攻されているようですが、姓の喪失が社会的混乱を招くという議論はどうも憲法学的な議論ではないようです。
さて、この記事は、2021年6月23日の最高裁大法廷決定を受けたものです。最高裁は、夫婦同姓を違憲と認めていないのですね。その理由を確認しました。最高裁の多数意見では、「夫婦の姓について、どのような制度を採るのが立法政策として相当かという問題と、夫婦同姓の規定が憲法に違反して無効かという問題は、次元を異にするものだ。国会で論ぜられ、判断されるべき事柄だ。」として、国会に判断を委ねているのですね。国会が必要な措置を講じていないことは憲法違反であるという裁判官も4名いました。
さらに、新聞記事をたどっていくと、次のような記事も出てきました。法制審議会が選択制の夫婦別姓導入などを柱とする民法改正要綱を1996年に答申したのに、法案提出につながっていない。「最大の原因は、自民党内の根強い反対論だ。」「自民党内では「別姓は家族の一体感を損なう」などの意見が続出し、合意に至っていない。」ということでした。
さて、なぜ、自民党は、選択的夫婦別姓に反対するのでしょうか。統一教会の影が見え隠れする気がするのはわたしだけですか。統一教会と「付き合う」ことが、本当に自民党の政策に影響していないと言えますか。