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プロジェクト型 共創プラットフォームとしてのPFS(成果連動型民間委託契約)/SIB(ソーシャルボンド)

こんにちは。Sustainable Innovation Lab (SIL) 事務局の小野です。
今回は、SILが毎月開催している勉強会「Xゼミ」第9回の模様の一部をレポートします。

2月24日に開催された第9回Xゼミのテーマは「PFS/SIB」。
社会変革推進財団(SIIF)の戸田さんよりPFS/SIBの基本をレクチャーしていただき、続いてSIL共同代表の林さんよりLocal CoopでのPFS/SIB活用案をご紹介いただきました。また土佐町の尾崎さん、奈良市の平山さんより、自治体職員の目線でPFS/SIBのメリット・デメリットや導入のハードル等についてご共有いただきました。

そもそも、PFS/SIBとは何か?

PFS (Pay For Success・成果連動型民間委託契約)は、「事業の成果に連動して委託料の最終支払い額が決まる、民間への行政サービスの業務委託契約」、SIB (Social Impact Bond) は「民間からの外部資金調達を伴うPFSのこと」を指します。外部からの資金提供を受けることで事業者のリスクを軽減することになり、これがPFS/SIBの特長と言えます。
従来の委託における業務仕様は「オンラインセミナーを4回実施する」といった活動ベースの指標が設定され、かつ委託料は固定です。対して、PFS/SIBでは「禁煙継続者数」といった成果ベースの指標が設定され、かつ委託料は成果に応じて変動する契約方式です。

PFS/SIBは日本では2015年からパイロットが行われ、2017年に神戸市・八王子市で初めて本格導入がなされました。以降現在まで60件超の事業が実施されています。

PFS/SIB事業では「成果を明確に定義する」ことが最も重要です。
成果指標は定量化できるものである必要がありますが、一方で定量化できる指標は本質からズレた数値になってしまったり、数値を充足させることが目的化して本来追うべきアウトカムを見失ってしまうといった問題が起こりやすく、「定性的効果も含めていかに適切な成果指標を置くか」がPFS/SIBの成功を左右するポイントだと言えそうです。

PFS/SIBについて詳しくはこちら

Local CoopでのPFS/SIB活用案

SIL共同代表の林さんは、PSF/SIBの仕組みとしての柔軟性の高さから、使い手側のアイディア次第で様々な活用方法をデザインできるポテンシャルを感じたそうです。

また、尾鷲・月ヶ瀬のLocal Coop事例に触れ、市場から売上を立てることが難しいと言われている領域にLocal Coop構想によって民間の参入を促進することを目指していますが、PFS/SIBを活用することでより公平なTo Governmentの領域を拓くことができるのではないか、と話していました。

Local Coop構想についてはこちら

自治体職員目線から見たPFS/SIB

続いてPFS/SIBが注目される背景として、VUCAの時代になり行政が抱える課題の複雑性が高まったこと、行政の発注力の低下、行政の人材の質/量の低下など様々な要因が挙げられました。

それと同時に平山さんからは、効果的なサービスの提供が可能になるメリットがある一方で、登場人物が多くなるため調整/運営業務負荷が増加する、中間組織や第三者評価機関を入れることによりコストが増加するといったデメリットが挙げられました。
また尾崎さんからは、うまく形になればトライ&エラーをしやすくなるというメリットがある一方で、成果に対する厳密さを求め過ぎるが故に、大きな自治体しか手を出せない(大手シンクタンクとの協業でなければ厳密さを担保できない)、制度説明が難しい、行政の発注能力(事業の仕様設計力)を否定することになる仕組みであり、行政のプライドを折りかねないといったデメリットがあるとご指摘がありました。

また、PFS/SIBの導入の仕方によっては住民が出資者として当事者意識を持つよう促すことができるというメリットがある点も特徴として挙げられていました。

さらに、PFS/SIBの浸透に伴う行政縮小の可能性についても触れられました。行政のマンパワーが落ちつつある中で、民間企業の力を借りる場面は増えています。現実的に考えて行政の縮小が進む流れはあり、PFS/SIBのような形での委託は増えていくと考えられます。しかし、ただ民間に委託するだけではダメで、行政の在り方が問われていくとのことでした。


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この記事を書いた人
Writer:小野将大 / SIL事務局
Editer:服部可奈 / SIL事務局



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