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【サステナツーリズム】くまもとSDGs未来都市フィールドワーク

こんにちは。Sustainable Weekの藤枝です。
この記事では、SDGs未来都市に認定されている熊本県でのフィールドワークについてご紹介します。

熊本県では、震災の記憶や教訓を後世に伝承し、「復旧・復興を熊本の更なる発展につなげる」ことを目的に回廊型フィールドミュージアム「熊本地震 記憶の回廊」の整備を推進しています。今回は、その中でも、熊本地震震災ミュージアムの拠点に指定されている熊本城と、震災遺構に指定されている東海大学阿蘇キャンパス1号館建物・地表地震層を見学しました。

熊本城

平成28年の熊本地震で大きな被害を受けた熊本城は、現在も一部修復作業が続く中ではあるが、観覧が可能になっています。

熊本地震の復興のために改修が行われている熊本城は、それと同時にすべての人が訪れやすい場所にするためにスロープやエレベーターを設置する取り組みが行われていました。

天守閣前の広場に大きなイチョウの木がそびえ立っています。
この大イチョウはトンネルを抜けると急に見えるので、日の光とあいまって黄金の輝きを見せていました。熊本城の別名「銀杏城」の由来となった木で、築城主である加藤清正が植えたとされているそうです。
現在見ることができる大イチョウは、西南戦争直前に消失したあとに生えてきたものだそうです。

大イチョウ

天守閣部分は修復が終わっていて、震災以前のように美しい城を眺めることが出来ました。天守閣の前は広場になっており、入城するまでは比較的長くゆるい坂のスロープが準備されているため、ここも誰でも行きやすくなっていると感じました。
地上6階・地下1階立ての城の中にはエレベーターが合計で3機あり、ベビーカーや車椅子でも天守閣からの景色を見わたすことが出来ます。

熊本城を訪れて、特に印象的だったのは、内部は博物館のようにパネルやモニターの展示がされていたことです。順路を進んでいると、イラストや説明が壁に直接書かれているところもあり、熊本城の歴史や建物の構造などが、映像・イラスト・模型などで楽しみながらわかりやすく学べる工夫を見ることができました。

また、指定のアプリをスマホに入れておくと、城の中の各スポットにあるQRコードを読み込むことができ、さらに熊本城を楽しめるように工夫されていました。

天守閣内部をまわっていくだけで修学旅行や校外学習などの学生も楽しく熊本城について学べるようにつくられていると思います。

最上階からは熊本市内の景色を一望できる
天守閣からの風景

熊本城の修復は全国的に話題になっていたので、どのように・どれくらい修繕がなされているのかを知ることが出来てとても有意義でした。また、リニューアルによって観光コンテンツとしても公共施設としても子どもから年配の方まで訪れやすい城になっており、先進的であると感じました。
熊本地震の影響で、本丸御殿や石垣などが未だ工事中で公開されていなかったので、全面的に修復が終わり公開できるようになったときにはもう1度足を運びたいと思います。

益城町・南阿蘇村

益城町・南阿蘇村フィールドワークでは、熊本地震からの復興の現状を視察しました。

旧東海大学阿蘇キャンパスまでの道中には、新阿蘇大橋を通りました。元々あった阿蘇大橋は、震災で倒壊し、現在は震災遺構として保存されています。住民にとってインフラだったという橋は、5年たってようやく新阿蘇大橋に生まれ変わりました。熊本市内から新阿蘇大橋を通って阿蘇に向かう途中には、駐車して橋を見ることができるスペースがあり、そこには各地から訪れた人が橋を見学していました。

新阿蘇大橋

旧東海道大学阿蘇キャンパスは、震災遺構として整備されていて、震災当時のまちや大学の様子を知るガイドさんに案内していただきながら見学することができます。

ガイドさんが施設内を案内してくれる

キャンパスの敷地内には、地震のことや被害状況を説明するボードが設置されていて、パンフレットも用意されていました。また、中学生や小学生が研修で訪れているようでした。

地震によって現れた断層

キャンパスの敷地に入ってすぐに、全長50mの地表断層が見えます。この断層も震災遺構として後世に残すため、屋根が取り付けられるなどして保存されています。地面の亀裂や横ずれの様子からは地震の大きさを感じることができました。

地震後に切り離された校舎

特に被害が大きかったという1号館の建物は、元々Y字型をしていました。震災の前に耐震補強工事がされていた左右に対して、正面は耐震補強工事がされておらず壁に亀裂が入るなど大きく損壊している様子が見えました。正面と左右では地盤のずれから高さも変化してしまっているため、現在は建物を保存するための補強工事が施され、正面と左右の建物が切り離された状態になっています。

建物の中の様子

建物の側面には大きなガラスが設置されていて、震災当時のままになっている建物の中が見えるようなっていました。そこから見えた事務室は瓦礫や家具が散乱した状態でした。そして、壁に貼られていたカレンダーが発生当時の状態のままであることを物語っていました。

付近で発生した大規模地滑りの跡

40年近く南阿蘇村に住んでいるというガイドさんによると、震災前学生がいた頃に学生と住民の交流の場になっていたお祭りやイベントが、年間の恒例行事ともなっていて、まちは活気に溢れていたそうです。しかし今は、キャンパスの移転に伴って学生が村からいなくなったり住民の中にも村を離れる人がいたりして、寂しくなってしまったといいます。

現在も周辺で工事が進んでいる旧東海大学阿蘇キャンパスは、体験・体感型の展示・学習施設として整備されていて、「熊本地震 記憶の回廊」の中核拠点として2023年にオープンする予定です。

「ONE PIECE熊本復興プロジェクト」と連携して設置された像と阿蘇の景色

震災遺構は益城町にもいくつかあります。今回は訪れることができませんでしたが、阿蘇へ向かう途中にまちを視察して、5年経った現在も復興の工事が行われていることを間近でみることができました。住宅街だった場所は、空き地になっていたり、駐車場として使われていたり、立て替えられた家もその多くが平屋であったりして、地震によってそこに住む人や考え、まち自体が変わっていることを感じました。

今回、震災の現状を視察したことで、熊本地震の被害の大きさや教訓を間近で感じることができました。同時に、県を中心とした伝承するための取り組みは全国でも先進的であり、それによって多くの人が熊本地震に関心を持って現地を訪れていることは新たな発見でした。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。
Sustainable Week は、ツーリズムを通して、SDGsやMLGs(滋賀県のローカルSDGsである琵琶湖版SDGs )を発掘・発見しています。
ツーリズムで発見したSDGs,MLGsについてはHPに記事を公開していきますので是非ご覧いただけますと幸いです!

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