気がする朝/伊藤紺
①
ひねくれていないかわりに残酷なことをしてきた背中と思う
→背中とか後ろ姿って、顔じゃないのに表情があるというか、雰囲気醸しているというか。堂々と前しか見てない自信に溢れた感じとか、ゆったりと大きく構えて余裕のありそうな感じとか。
だからこの歌に出てくる背中は、残酷なことをしているのにその自覚がなく、開き直っているようなイメージではっきり浮かんだ。
けど嫌いじゃなくてむしろ好きでいることも伝わってくる。
②
アパートにひとり暮らしたその日々が残した胸のうつくしい根よ
→1人で暮らすって、当たり前だけどどんなことがあった日も家では1人ということで、
けどそんな環境だからこそどの日のどの感情も自分の根となり、曲がりなりにも心が育っていく感覚があります。一人暮らし3年目に入った今では。
③
きみが笑って
白い歯が一瞬見えて
こんなかんじかな確かさは
→たったそれだけ、に見えることが拠り所になって、確かな理由なんてそれだけで十分って感じ!
大事なのは量でも、一般論でもないんだよね。
共感共感。
④
本気ってめっちゃやるってことじゃなくて
打ち震えるほど自由であること
→なんか少し前向きになれた歌。
めっちゃやってるように見えるからあの人は本気だ、が全てではないよね。
打ち震えるほど自由か、、、
私ももう一度そういう経験がしたいな。
⑤
ちょっとずつ言わなくたってへいきになって秘密は顔に溶け込んでゆく
→自分が秘密や嘘を抱える時、それが表には出ていないはずでも誰にでも見える顔という部分に溶け込んでいって、実は誰からも見透かされているんじゃないかという感覚になる。
⑥
売りに出せばほとんどただになるようなうつくしい石が恋なんだね
→キュン歌。
そのものの値打ちではなくて、付加価値が全て。
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何度でも読み返せるような歌集。
日常を過ごしながら目の前のことを大きなことと重ねてみたり、例えてみたり、そんな伊藤紺さんの頭を覗けたようで楽しかった。
歌集のnote2回目で、1回目のサラダ記念日の時も思ったんだけど、選ぶのちょっと辛いくらいだわ。
本当にどれも好きだし語りたいし、多分その時々によっても選ぶ歌は変わるから。
それに、共感したからとか、可愛らしくてお気に入りだからとか、選ぶ基準も決めてないのでバラバラです。
とにかく全部好き!
ちなみにこれはサイン本なのだ、、、
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