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Short Stories

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レトロなSFを中心に、公開中の自作短編小説を転載でまとめています。
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流星《SF・微JUNE短編小説》

『流星:SF・微JUNE掌編集』から、お試し読みを兼ねて表題作を掲載させていただきます。 (縦→横変換とネット掲載に伴い、行頭一字下げの省略、ルビ→括弧書きなど体裁を変更しています) 丘のうえで、僕の幼い息子が夜空を見上げている。田舎の澄んだ空気越しに、まき散らしたような星が見える。近くの民家はうちだけだから、邪魔する光もない。息子は白い息を吐いて、無邪気に叫んでいる。 「流れ星!」 流れ星の多い時代だ。 僕が生まれる前からずっと。 ――――――――――――――― 検閲

「千夜一夜」《レトロSF短編集より》

【追記(2024/5/23)】 新刊『あの頃の未来~ちょっとレトロなSF短編集(おとぎばなし)~』に再録のため少し改稿しました。内容を差し替え、本誌お試し読みを兼ねて掲載させていただきます。 レトロなSF仕立てですが、「人に正気を保たせるものとは…」を考えながら書きました。何かを感じ取っていただけたら嬉しいです。 ◆男は見慣れぬ星座を眺めながら、大昔の探検家のことを考えた。永遠に続く夜の中、彼の話を「聞いてくれる」のは、答えることのできない給仕ロボットのペイジーだけだ——