千夜一夜《SF短編小説》
不時着してから地球時間でたっぷり一週間はたったが、空はずっと「夜空」だった。この星は自転周期と公転周期が一致している。
男は干からびた大地に寝ころんで見慣れぬ星座を眺めながら、大昔の探検家のことを考えていた。考える時間はたっぷりあり、気を逸らせてくれるものは何もなかった。子供だった自分の心に冒険心とヒロイズムを擦り込んだ、数々の伝記の背表紙が星空に浮かんだ。南極点を目指した、あれはだれだっけ? …スコット。ロバート・ファルコン・スコットだ。彼とその探検隊は南極点に到達し、帰