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〈問〉 京都議定書とは何ですか?

〈回答〉

温室効果ガス排出量の具体的な削減目標が定められた「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」と呼ばれる合意文書のことです。1997年に京都市で開催された第3回国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP3)において締結されました。2008から2012年までの5年間の約束期間において、先進国全体の平均年間排出量を1990年の総排出量から5%削減するために、各国の具体的な数値目標が定められました。

〈補足〉

  1. 先進国のみに削減目標が設定

  2. 「京都議定書目標達成計画」に基づき日本国内で総合的な施策を展開

  3. 第2約束期間への移行


〈補足詳解〉

1.
COP3参加国による協議を経て、UNFCCCで規定された附属書I国(ヨーロッパ諸国、日本、米国などの先進国または市場経済移行国)は、温室効果ガス排出量を1990年比較で5%削減することが当議定書第三条に盛り込まれました。しかし、先進国のみに義務を課すというのは不公平である点や、温室効果ガス削減の手法やその効果算定に対する疑念から各国間で意見対立が起きました。このことが後々に途上国を含めた取組みとなる「パリ協定」締結へ繋がることとなりました。

第3条
1.附属書Ⅰの締約国は、2008年から2012年までの約束期間において、附属書Iの締約国全体の排出量を1990年の水準から少なくとも5パーセント削減することを念頭において、個別に又は共同で、附属書Aに掲げる温室効果ガスの人為的な排出量(二酸化炭素換算量)の合計が、附属書Bに定める数量的な排出抑制及び削減の約束に基づいて計算された割当量を超えないことを確保しなければならない。

「気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書」(京都議定書)

附属書Aに掲げる温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、パーフルオロカーボン(PFCs)、六弗化硫黄(SF6)です。
附属書Bに定める割当量は、日本▲6%、米国▲7%、フランス▲8%、ドイツ▲8%、イタリア▲8%、イギリス▲8%、ロシア0%、オーストラリア+8%などと定められており、オーストラリアをはじめ一部の国では1990年水準から増加することが認められましたが、多くの先進国には大幅な削減量が設定されました。

2.
2005年2月に当議定書が発効したことを受け、同年4月、日本政府は「京都議定書目標達成計画」を閣議決定し、日本国の目標である温室効果ガス6%削減の達成に向けた総合的な施策を行うこととなりました。下記表にある通り、温室効果ガス排出量の削減▲1.8%〜▲0.8および森林吸収量による削減▲3.8%を具体的な数値目標としましたが、これでは▲6%が達成できないため、残りは「京都メカニズム」を活用して目標達成することが示されました。

京都議定書目標達成計画

「京都メカニズム」とは、下記で図示する通り、他国の排出削減プロジェクトに参画することで自国の排出量に削減量を加算できる仕組みです。共同実施、クリーン開発メカニズムおよびグリーン投資スキームと3タイプの参加方法があります。

京都メカニズムクレジット取得事業 の概要について|環境省

結果として、この約束期間において目標は達成できたのでしょうか?
2008年から2012年までの5ヵ年平均で基準年比▲8.4%となり目標達成しました。
総排出量は逆に+1.4%となりましたが、森林吸収量による削減で▲3.8%、「京都メカニズム」によるクレジット▲5.9%が確保できました。
排出量の増加に懸念があるものの、温暖化対策の取り組みを可視化できた点は前進したと言えるでしょう。

3.
約束期間後の2013年以降の取組みについては、2012年にドーハで開催された「京都議定書締約国会議(CMP)」の第8回締約国会議において、2013年から2020年までを第二約束期間として新たに設定するため当議定書が改正されました。

日本国はこの第二約束期間に参加しないことを表明しました。
不参加の理由は、国際社会の構図が大きく変わり、温室効果ガス排出量が多い、中国(1位)、米国(2位)、インド(3位)がそもそも参加していないことから、公平かつ実効性のある新たな枠組みの構築が必要との考えによることからでした。削減義務を負った先進国などの排出量に変化が見られないものの、中国や途上国における排出量は1990年と比較すると著しく拡大しました。

その後、2020年以降の新たな枠組みとして「パリ協定」が採択されています。

COP18に向けて:よくある質問|外務省

〈参考〉