〈問〉 国連の概要について説明してください。
〈回答〉
国際連合(国連)は、国際的な平和及び安全の維持を目的に設立され、経済的、社会的、文化的又は人道的性質を有する国際問題を解決するために、諸国の行動を調和する中心的役割を担っており、その活動は「国際連合憲章(国連憲章)」に基づいて実施されています。
〈補足〉
国連憲章に基づき機関や手続を規定
6つの主要機関を中心とした「国連システム」を構成
国連分担金が国連活動の主な財源
〈補足詳解〉
1.
1945年10月24日に、常任理事国となる米・中・仏・露・英およびその他の署名国の過半数が批准したことを受けて国連が設立されました。
設立時は51か国の加盟国で構成されていましたが、現在の加盟国数は193か国にのぼります。本部をニューヨークに置き、1945年6月に署名された「国際連合憲章(国連憲章、Charter of the United Nations)」に則り主要機関や手続を規定しています。
最大の目的である平和維持のために、主要機関の1つである国連安全保障理事会(安保理)は、5か国の常任理事国と10か国の非常任理事国で構成されており、平和に対する脅威等の存在を決定し、国連憲章に基づいて、いかなる措置をとるか決定する権限を有しています。
日本は常任理事国ですか、それとも非常任理事国ですか?
答えは、非常任理事国です。日本は、国際社会を主導していくためにも、2023年1月から2年間の非常任理事国を務めており、1956年の国連加盟以来12回目となります。これは加盟国中で最多となる回数です。
2.
国連は安保理を含む6つの主要機関が設けられています。
これら主要機関以外にも、各種基金や計画、補助機関が設けられています。
また、世界銀行グループ、国際通貨基金や世界保健機関など15の専門機関が特別協定によって国連に結びついている他、国際原子力機関(IAEA)や世界貿易機関(WTO)など関連機関も存在しており、主要機関を中心とした「国連システム」を形成しています。
実は、この「国連システム」に属する組織やその関係者は、世界平和の大義に対する貢献が認められ、これまでに多くのノーベル平和賞を受賞しているのです。2001年には、当時のコフィ・アナン事務総長とともに国連自体がノーベル平和賞を受賞しています。アナン事務総長は途上国の貧困削減のためにSDGsの基となった「ミレニアム開発目標」(MDGs)を推進した方です。
3.
国連が持続的に活動を行う上では大規模な資金が必要となりますので、加盟国がその責任に応じて国連分担金を支出しています。
国連分担金は、国連憲章上、加盟国が負担することが義務付けられている国連の活動を実施するための財源であり、加盟国が負担することが義務づけられている分担金と、各国が政策上の必要に応じて拠出する任意拠出金とに区分されます。
さらに分担金は、通常予算分担金とPKO分担金と2種類あります。
まず、通常予算分担金は、政務、軍縮、国際司法、経済社会開発、人権・人道等の国連活動を支えるための予算のことです。分担率(3年間据え置き)は、加盟国間で交渉した上で国連総会で決定しており、下記グラフにある通り、経済成長著しい中国の分担率が日本を逆転している点が特徴的です。
経済成長が世界での立ち位置に直接的な影響を与えていることが分かります。
PKO分担金は、平和維持活動を支える財源であり、安保理常任理事国は通常予算分担率から割り増しされ、逆に途上国はその所得水準に応じて割り引かれます。PKO分担金の全体規模は、2015年85.7億ドルをピークに減少しており、2022年は63.8億ドルとなっています。
〈参考〉
United Nations
https://www.un.org/en/about-us外務省 国連安全保障理事会(安保理)とは
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/un_anpori/torikumi/anpori.html外務省 日本の分担金・拠出金
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page22_001258.html