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〈問〉 気候変動枠組条約締約国会議(COP)とはどのような会議ですか?

〈回答〉

「国連気候変動枠組条約(UNFCCC:United Nations Framework Convention on Climate Change )」に基づき、当条約の最高機関として設置され、1995年から毎年開催されている気候変動に関する国際会議です。UNFCCCの目的は、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の濃度を安定化させることがであり、1992年に「国連地球サミット」で採択、1994年に発効されました。COPでは、これまでに当条約および会議で採択された関連文書の実施状況を定期的にモニタリングし、今後の効果的な実施を促進するために必要な決定を行います。

〈補足〉

  1. 「国連地球サミット」がリオデジャネイロで開催

  2. UNFCCCは全26条で構成(先進国と途上国で異なる取扱い)

  3. UNFCCC事務局の設置


〈補足詳解〉

1.
地球温暖化や熱帯雨林の破壊など地球環境問題が深刻化していたことから、1992 年 6 月 にリオデジャネイロで「国連環境開発会議」(別名「国連地球サミット」)が開催されました。当会議においていくつかの文書が合意され、UNFCCCはその文書の中の一つとなります。
UNFCCCにおいて締約国会議を設置することが定められ、別段の決定を行わない限り、毎年開催することとされています。ちなみに、COP(Conference of the Parties)は締約国会議を意味しており、他の国際会議においても使用されている言葉です。ここでのCOPはUNFCCCに基づき開催される会議を指しています。

国連環境開発会議(資料はNHKより)

2.
UNFCCCでは、地球の気候変動とその影響が人類共通の関心事であり、途上国の発展において社会的ニーズが高まることから、温室効果ガスの排出量は今後増加する傾向にあると認識されています。(1992年時点で)過去及び現在における世界全体の温室効果ガスの排出量の最大の部分を占めるのは先進国において排出されたもので、各国の能力並びに各国の社会的及び経済的状況に応じた国際的対応に参加することが必要であるとされています。特に、持続的な経済成長の達成及び貧困の撲滅という開発途上国の正当かつ優先的な要請を十分に考慮すべき点が強調されており、先進国が率先して温暖化対策を講じるべきとされています。達成時期は明確に示されておらず、条文には「経済開発が持続可能な態様で進行することができるような期間内」との表記に留められています。

第二条 目的
この条約及び締約国会議が採択する法的文書には、この条約の関連規定に従い、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極的な目的とする。そのような水準は、生態系が気候変動に自然に適応し、食糧の生産が脅かされず、かつ、経済開発が持続可能な態様で進行することができるような期間内に達成されるべきである。

「気候変動に関する国際連合枠組条約」より
  • 締結国
    国ごとの経済状況や能力から下記の通り3つのグループが指定されており、先進国と途上国とで異なる取扱いが定められました。下記表にある附属書II国に対しては、途上国が温室効果ガス排出削減活動を可能にするために必要な財源を提供することが要請されています。また、国連から後発開発途上国に指定された締約国は、資金調達や技術移転活動などの対応能力を考慮して条約の下で特別な検討を受けます。

1997年12月、COP3で締結された「京都議定書」で先進国全体で少なくとも5%の温室効果ガス排出削減量が義務づけられ、2015年12月、COP21で締結された「パリ協定」で途上国を含めた全ての国に具体的な数値目標が義務づけられました。

3.
UNFCCC事務局は気候変動の脅威に対して国際的な対応を支援する国際連合に属する機関として1992年に設立されました。事務局はドイツのボンに所在し、世界100国以上から来た国際色豊かな約450名のスタッフが働いています。現在の事務局長は、2022年8月15日にグテーレス国連事務総長に任命されたサイモン・スティール氏(カリブ海グレナダ出身)です。
COPの他にも毎年多数の会議やワークショップを開催しており、「京都議定書締約国会議(CMP)」および「パリ協定締約国会議(CMA)」と2つの締約国会議の事務局も務めています。これらの会議においては、それぞれの条約内容が見直され、必要に応じて補助機関の設置が検討されています。

〈参考〉