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「働く」 リレーコラム① - 小林やばこ

今月から文化放送部でリレーコラムを始めます。SUSONOで設けられた毎月のテーマに合わせて部員の各々が思うことを綴っていく、そんな活動です。

書き物を生業にしている3人ではありませんが、お読みいただき、ご感想などを寄せていただけると嬉しいです。


4月のテーマは「働く」。

まずは部長の小林やばこ(@yabaco_)から始めたいと思います。


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僕の両親はふとん屋 兼 インテリアの内装業の仕事をしている。

人口4000人の村で2人っきりの小さな会社。

両親は家に僕を一人で置いておくのが怖いという理由で、よく僕を仕事場に連れて行った。僕は特にすることもないので、余った廃材で剣を作ったり、落書きしたり、扉のない押入れで寝たりしながら、2人の働く姿をなんとなく見ていた。

それだけだったのに、「働く」について何を書こうかとぼんやり考えた時に浮かんだのは両親だった。考えてみると、当時見ていた2人の働き方が、僕のスタイルがすごく似ていることに気づいて、自分でもビックリ。

今回はそれについて書いてみようと思う。


心理的な距離が近い人と働く

父母は夫婦でもあり、チームメイトでもあった。人口4000人という小さな村だからお客さんもだいたい知り合い。仕事場に遊びに行く僕も多分チームメイトだった。

登場人物全員が、仕事も私生活もあらゆる場面でツーカーで、お互いの信頼感は目に見えるようだった。仕事現場は常に心地よい空気があった。

だからか、僕は何をするかと同じくらいに誰とするかをすごく大切にしている。ただでさえ一日の半分近く一緒にいるのだから、どんなにお給料が高くても一緒にいる人が好きになれないと苦痛だ。

公私混同しているかもしれないけど、礼儀は前提として、仕事仲間だけには収まらない、友達や家族のような信頼感を持てるかは重要だ。


自ら企画し、自ら作る

ふとん屋やインテリアの内装業の仕事は職人でもあり、プロデューサーでもある。2人しかいない会社だし、他にお願いできる人もいないから「こんな家にしましょう」「こういう雰囲気の空間にしましょう」という提案までする。話がまとまると次は職人になる。

僕は広告代理店の営業→コミュニケーションプランナーという職種を経て、今はスタートアップやフリーランスで物事の整理・設計・プロデュース・デザインをやっている。何をやっているのかイメージがつきにくいと言われるし、ぶっちゃけ自分でも肩書きが分からない。というか適切な肩書きがまだ世の中にない。

ただ、やっていることは父母と一緒で、自ら企画し、自ら作る・動かす、ということ。幸い素敵なチームがいるので、1人で全部やるということはないが、欠けているポジションがあれば、何箇所でも入る。

最後まできっちり見届けたいという気持ちが強いのは、きっとプロデューサーと職人を行き来している、両親の働き方が身に染み付いているのだと思う。


複業して仕事の循環を作る

両親は本業以外の仕事も楽しんでいた。夏場には父親は忍者村で手裏剣道場を、母親は蕎麦屋を手伝い、冬場には父親はスキーのインストラクターやリフトの整備を、母親はリフトチケットの販売窓口の仕事をしていた。

言ってしまえばアルバイトだけど、人手が足りないから喜ばれている。何だかんだ本人たちも楽しんでいる。さらにそこで今度絨毯直してよと、本業の仕事を取ってくる。インテリアとは関係のない仕事をしているのに、結果的に仕事の環をまわしている。

僕も転職やフリーランス、友達との活動を通して、一つの場所にいたら見えなかった視点がたくさんあることに気づいた。自分の土俵から出て色んなところで活動をして、それを自分の血や肉にして帰ってくることを面倒と思わずにいられるのは親の血のおかげだなと思う。


流動的に休んで働く

両親はお昼を食べると必ず昼寝をしていた。それから午後の仕事をする。社会人になってから考えてみると誰もそんなことをしていない。信じられないことだ。

また体調が悪ければ普通に半休して、休みの日にその分取り戻す。がっちり月〜金を平日とするのではなく、平日と休日に流動性を持たせる。

これは僕は正直まだ実現できてないが、どうしようもやる気が出ない日はやらない、調子良いときはたくさん働くようにして、ノーストレスである状態を意識して働いている。

土日も仕事をすることはあるけど、その分平日はいつでも仕事を切り上げられるようになって、トータルして気持ち的にゆるやかになった。



と、ずいぶん親ラブな文章になってしまった。

考えてみれば職場に子供をずっと置いておくなんて、今の時代でさえ最先端すぎる取り組みを30年も前にとりいれていたのだ。職人だったから可能だ、と言わればそれまでだけど、別に僕は職人ではないにも関わらずたくさんのことを継いでいる。両親は特別な意識をしていたわけではないと思うけど、家から連れ出されて本当に良かった。


というところで、僕の働くコラムはここで終わりにします。

次は副部長のサチコさんです。おたのしみに!

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