ブラフってどこ?

Atsushiです。

アメリカの人口約200人の町に引っ越して7年。よく考えると、凄いところに、よくこれだけ長い間、住んでいるなあと、我ながら思っています。

さて、僕が住んでいるBluff(ブラフ)という町ですが、ユタ州の東南にある町で、ロスからアメリカの内陸に、車で12時間ほど走らせたところにある、まわりが沙漠で囲まれた小さな町です。砂漠という漢字ではなく、沙漠という漢字を使ったのは、このあたりの土地は、膝ぐらいまでの高さの植物に覆われた砂の大地だからです。上の写真は、町の丘の上にある遺跡がある場所で、地面に落ちている石は、遺跡の後です。

夏の最高気温45度、冬の最低気温-7度。なかなか住むのに大変な場所です。皆さんは、ニューヨークや、ロス、サンフランシスコのような大都市は、ご存知だと思いますが、こんなアメリカもあるんだということを、住んで見るまで、知りませんでした。今でも、ニューヨークやサンフランシスコと同じ国に住んでいるとは、とても思えません。大都市にはほとんど行かないですが、行くとなると、海外旅行に行くような感覚です。

町に住んでいる人は、ほとんどが白人のリタイアした年配の方たちで、考古学者や作家、アートキュレーターだった方たちです。若い方たちも少しいて、隣町の大学で美術を教えている芸術家や、まわりの自然を守る団体を運営している人たちが住んでいます。

こんな町が、夏の間だけ、忙しくなるんです。数件のレストランと、数件あるホテルが特に込みます。ラスベガスに飛行機で到着して、グランドキャニオンや国立公園を1週間かけて観光するコースの通過点に、この町があり、このブラフで1泊するコースや、ランチ休憩するコースがあるからです。小さい町なのに、夏の間は、ホテルはどこも混んでいて、レストランの駐車場には、大きなバスがよく停まっています。

夏は混むのですが、冬はとても寂しい町になり、冬でも営業しているのは、レストラン1件とホテル1つだけになってしまいます。冬の間クローズするレストランは、シーズンクローズの時期が近づくと、街の人にあとどれぐらい食材が残っているかをお知らせして、食材がなくなった時点でシーズンを終了する面白いシステムをとっています。町に1件あるガソリンステーションは、1年中営業していますが、商品の質が良くないので、車のガソリンを入れる以外に寄ることはありません。

公共施設は、消防署、郵便局がありますが、消防署は、専門の消防署員がいるわけではなく、全員仕事を掛け持ちして、出動要請があると、携帯とトランシーバーに連絡があり、手の空いている人が、消防署に急いで集合し、出動します。僕も消防団に所属していて、燃える建物に、映画「バックドラフト」みたいに、入って行った事もあります。(古い映画で、すみません)。ただ、ほとんどの出動要請は、車の事故での人命救助になります。町の病院はないので、何かあったら車で30分の町にある病院に行かなければならないのですが、今のところ、家族全員健康的な生活を送ることが出来ています。

ブラフには、小学校がありますが、ブラフに住んでる子供がいる家庭は、数えるほどしかおらず、ほとんどの子供は、近くのネイティブインディアン、ナバホ族の子どもたちです。子どもたちは、ナバホ居留地に住んでいて、学校まで、バスで通学しています。一番遠い子供は、バスに片道1時間30分乗って学校に通っています。最近になって、ナバホ族の、ナバホ語離れが深刻になり、学校では、ナバホ族の言葉の授業をしっかり行われており、僕の子供も、この小学校に通っています。そして、ナバホ語が話せます。ちなみに僕は、ほとんど話せず、子どもたちのナバホ語が、まったく理解できません。ナバホの子供たちの家は、水道電気が無い家も多く、インターネットも無いので、このコロナの影響でオンラインになりましたが、勉強できない子どもも多数いるようです。このブラフには高速ではないですが、苦にならない程度のスピードのネットワークサービスがあり、インターネットは問題無く使えるので、子供たちはオンラインの授業を受けています。ただ、この学校は必要最低限の授業の、読み書きと算数しか教えていないので、家でのホームスクーリングが必要になります。

この町の近くにかなり古い壁画があったり、ハイキングコースが多数あるのですが、1番のおすすめは夜の天体観測です。知り合いのレンジャーにお願いして、夜空の星の解説を夕焼けから暗くなるまで、実際に星が見えてくる順番で、解説があるので、自然のゆっくりしたプラネタリウムみたいでとても価値のある時間の使い方になります。

ゆっくりした時間が流れているこの町で、時代から置いていかれないようにインプット・アウトプットを繰り返して行こう思います。




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