ビバノンノン

良かれと思ってやったことが全部裏目に出る。必要なことだからと思ってやったことが特に必要とされていない。具体的に何がというわけでもないが、ずっと独り相撲をしている。

モヤモヤしたので酒をかっ食らって、お風呂に入った。嫌なことを忘れる方法といったらお酒だし、リフレッシュする方法といったら風呂に入ることだ。ふたつ合わせりゃ一千万パワー。

どっこい簡単には切り替えられない。そもそも飲酒して風呂入って気持ちが切り替えられるなら、漠然とした不安に毒されたりなんかしないのだ。むしろ風呂に入ることで漠然とした不安というのはどんどん大きくなっていく。ポカーンと湯船につかっていると考えなくてもいいことまで考えてしまうから。うまくいかない人付き合い、やりたくない仕事、嫌いなくそ野郎、将来への不安、浮かんでは振り払い浮かんでは振り払い。考えないようにと考える作業で気分は落ち込む一方。

だんだん頭にきたので、お風呂のお湯にを一発ひっぱたいた。水面に向かって手のひらを振り下ろす。そこそこ大きな水しぶきが上がって、少しだけ気が晴れる。今度は湯船につかった状態でパンチのラッシュをする。ついでに大きな声で叫ぶ。叫ぶのはもちろん、学ランの似合う某スタンド使いのあのセリフ。水が四方八方に飛び散って湯船のお湯が振り子のように揺れて静かだった風呂場がこぶしをふるっている間だけ騒然となる。

疲れたのでやめると風呂場はすぐに元の静けさを取り戻した。ついでに心も平穏を取り戻したかというとそんなことは全然なく、気分は暴れる前と変わらず重たいまま。でも暴れたせいなのか、酔いが回ってきてなんもかんもがめんどくさくなってきた。もう不安なことに振り回されている場合ではない。酔っぱらって重たくなった頭に体が振り回されるまえに風呂場を脱出しなくてはならない。

何も変われないし、成長もしない。このままの性格で一生ウジウジしながら生きていくのだと思う。でもお酒を飲んで風呂に入ってひと暴れすれば、とりあえず一切の悩みは先送りされることに気づけたことはデカい気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?