mev wif me: mev, solanaとdog wif a hatのお話(24年1月12日)
本記事はJito Labsのブログ記事 mev wif me: a story about mev, solana, and a dog wif a hat.(2024年1月12日)の日本語訳になります。
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。暗号資産への投資は価格変動のリスクなど多大なリスクを伴います。投資の最終決定はご自身の判断で行ってください。
2024年1月10日22時20分39秒 (UTC)、zer0xtrading.sol というアカウント(5qYuZ9ZLShLB1MuV83xHRcTgVA9A5pUajnQUUcPbk3bf)がとんでもないミスを犯しました。なんと、数百万ドルもの資産が、アービトラージボット、Jitoバリデーターとそのステーカーたちへ一瞬にして移転してしまったのです。
事の発端は、zer0xtrading.sol によるたった1回のトランザクションでした。彼らは約 86,739.1 SOL (約860万ドル) を、Solana上で人気のミームコインである $WIF 17,225,407.03 と交換したのです。しかし、流動性が低かったのが仇となりました。彼らのスワップによってほとんどのオンチェーン流動性が枯渇し、$WIFの価格はなんと2800%も跳ね上がり、0.14ドル程度だったものが3.99ドルになったのです。ここからが面白いところ。Solana上のアービトラージボットが大挙して押し寄せ、この価格差を利用して大儲けしたのです。
何が起きたのか?
ブロック番号 241056629 で、zer0xtrading.solがトランザクションを送り、Solana上の$WIF市場に大きな価格インパクトを与えました。トレードを行う 2Fastという人物は、Jito のブロックエンジンを利用して、このアービトラージを一括処理するバンドルを送信しました。このバンドルはFigmentのバリデーター上で実行されました。結果として、2Fastは190万ドルもの利益を上げ、Figmentのバリデーターとそのステーカーには合計890.42 SOL(約8万9千ドル)が分配されました。ただし、2Fast 氏は資金に制限があったため、アービトラージ機会を全て取り切れなかったようです。
同じブロック内で、pUEsyyという人物もトランザクションを送信し、SOL-> BONK->WIF->SOL というルートで$WIFのアービトラージを行いました。彼は6.4SOLを132.81SOLに変換したのです。そして、その後の数ブロックで、ボットたちが殺到してアービトラージに参戦しました。
$WIF関連トランザクションが行われた後、50ブロック(約24秒) で以下のようなことが起こりました。
Jito バリデーターへのチップ: 2,286.5 SOL (バンドル経由)
バリデーターへの手数料: 8.53 SOL (50%ベース手数料と優先手数料)
この期間の総計算ユニット数の13%が$WIF関連トランザクションの処理に費やされた
$WIF計算ユニット数の54%は失敗したトランザクションによるもの
$WIF関連トランザクションの44%が失敗
上位3位の獲得バリデーターは以下の通りです。
Validator.com: 978.95 SOL
Figment: 890.42 SOL
Staking Facilities: 403.64 SOL
50ブロック間で行われた全てのアービトラージトランザクションを列挙するのはキリがないので省略しますが、$WIF トークンに関連するトランザクションは 500件以上 ありました。 もっと詳しく調べるには、こちらのスプレッドシート (このコードで生成) をご覧ください。データには 69人のユニークなサーチャー(=トレーダー) による572件以上の$WIFトークンのトランザクションが含まれており、中には10万ドル以上稼いだトレーダーもいたようです。
それではチャートを使ってこの出来事が全体としてトレーダー、Jito-Solana バリデーターとそのステーカーにとって非常に儲かるものになった経緯を見てみましょう。
さらに詳しく見てみよう
図2のチャートでは、各ブロックにおけるバンドル (成功した場合のみオンチェーンに記録) と、成功/失敗した非バンドル (バンドルを使わないトランザクション) の数が示されています。青と赤 (色覚障がいの方すみません) を比較すると、バンドルを活用するサーチャーが圧倒的に迅速に反応していることがわかります。リーダーがJito-Solanaバリデータークライアントを実行していない数ブロックの空白がありますが、これはバンドルがオンチェーンに記録されなかったためです。時間が経つにつれ、より多くのボットがこの機会に気づき、$WIF 市場でのトランザクション数を増やしていったようです。
図3は各ブロックの各計算ユニットの内訳を示しています。バリデーター間での計算ユニットの差異、そして投票権のないすべてのトランザクションに対して、$WIFトランザクションの実行に費やされた計算ユニットの量が興味深いです。実際、これらのブロックでは、投票権のない計算ユニットの約13%が$WIF関連トランザクションに費やされています。
ここが肝心な部分です。約50ブロックにわたって、2,286.5 SOL以上が$WIFトランザクションでチップとして支払われ、バリデーターとそのステーカーに24秒間で約$228,650もの収益がもたらされました。上位のバリデーターは以下の通りです。
Validator.com: 978.95 SOL
Figment: 890.42 SOL
Staking Facilities: 403.64 SOL
興味深いことに、Staking Facilitiesはこの間に運良く2 つのリーダースロットを獲得しました。(ブロック番号) 241056636 - 241056639と241056660 - 241056663です。最初のスロットでは170.68 SOL、2番目のスロットでは232.96 SOLを獲得することができました。
まとめ
この記事wif a summaryを楽しんでもらえたでしょうか。念のため、この記事で使用したデータはこちらから入手できます。
MEV (Maximal Extractable Value: 最大可能抽出価値) はSolana上で急速に増加しており、少数のトランザクションでMEVサーチャー、バリデーター、およびステーカーに莫大な収益をもたらすことができる、今回の事例はまさにその好例です。このような事態は回避することもできます。今後、このような大量の取引を行う場合は、取引による価格への影響を必ず理解する必要があります。取引が価格に大きな影響を与える場合は、多くの小さな買い注文や売り注文に分けて、発生しうる価格の不均衡をアービトラージボットに処理させるようにしましょう。
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注意:この記事は24年4月時点の記事でありデータやリンクが古い可能性がある点、ご了承ください。
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