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『霜降り明星のオールナイトニッポン0』2020/06/19

目の前でラジオの歴史が更新されていく2時間だった。

ぷっぷっぷっぷーん

1972年作曲家の平尾昌晃先生が香港から連れてきた"香港の妖精"中国名チャン・メイリンことアグネス・チャンさんの『ポケットいっぱいの秘密』に乗せてリスナーが知っている小さな秘密を紹介していく(ラジオ界きってのクレイジー)コーナー「ポケひみ」で駆け抜けた『霜降り明星のオールナイトニッポン0』。本当にすごかった。

正直なところ、文春の報道によるあらゆる影響が不安でした。
謝罪の言葉を期待する意地の悪い人間だっているのです。
一体どんなふうに始まるんだ?と注目が集まるなか、流れてきた「ぷっぷっぷっぷーん」のイントロは、僕らの想像を超え、その後の2時間に渡って真綿のように僕らをじわじわと苦しめることになるのでした。

不安でいっぱいだった気持ちは、延々と流れ続ける『ポケットいっぱいの秘密』に本当に嫌気が差す時間を経て、ただ純粋に「ポケひみ」いっぽんで2時間のラジオを完走することへの熱狂に変わっていく。
霜降り明星から溢れだす笑いと情熱と狂気で、いつのまにか報道のことなんてみんな忘れていたでしょう。

2時間もの間、クレイジーマンとしてハイテンションで喋り続けたせいやとそれにツッコみ続けた粗品の友情を讃えたい。嗚呼、霜降り明星よ永遠に。


結局 例の報道について言及することはなかったけれど、今回の放送はすべてそこに向けられていたし、アフタートークでの「みなさん、せいやさんを労ってあげてください」という粗品のコメントに全てが詰まっていた。
言葉で届けるラジオだからこそ、言葉を使わないことでより伝わることもあるんですね。

『ポケットいっぱいの秘密(フランス語ver.)』でお腹が捩れるほど笑った深夜4時。
アフタートークが終わってもコメントが流れていく画面をしばらく眺めていた。キーンと耳の奥が鳴っている。

後から聞き返すのはとてもカンベンなこの神回を僕はずっと忘れないと思う。


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