男女6人、同窓会、5年ぶり。何も起きないはずがなく…

同窓会に参加した。小学生のころ学童保育に通っていたグループの会で、顔を合わせるのは5年ぶりだった。近況を聞くとみんな結婚していたり子供がいたりして、ライフイベントを通過した数で人間の価値が上下することはないと思っていたのだが、流石にちょっと置いて行かれたような気持ちになった。

だって、川を越えて桑の実を取りに行ったことや、林の奥で見つけたエロ本がスカトロものだったことや、巨大な穴を掘ってそのへんにあったドラム缶を埋めたら見ず知らずの人の敷地で怒られたことなどをまだ鮮明に覚えているのだ。なのに子育てなんて!置いて行かれたような気持ちにもなる。

近況報告の順番は当然ぼくにも周ってくる。しかし、マインドフルネスストレス低減法の生みの親であるジョン・カバットジンの本を読んでいるとか話してもしょうがないので、ダイエットして16kg痩せた話をした。といっても5年前と同水準の体重に戻っただけなので、彼ら彼女らにとってあんまり驚きはなかったと思う。

するとダイエットの理由を尋ねられるわけだが、理由はひとつではない。フィットネス関連の論文に触れるようになったので自分の身体で試してみたくなったとか、交際していたパートナーと別れてモテたくなったとか、ほかにもいろいろたくさんあって、重い腰をあげるだけの理由がたまたま重なったからに過ぎない。でもあの日、ダイエットの理由を尋ねられて実際に答えたのは「死ぬと思ったから」だった。

いつだったか、ぼーっとYouTubeを見ていたら糖尿病になって人工透析をしている人の体験談がレコメンドされた。祖母が糖尿病で亡くなったこともあって、なんとなく開いて見てみると、その人の糖尿病発症前の身長体重がぼくの身長体重とまったく同じだったのだ。そして、糖尿病の原因のひとつとして挙げていた食習慣にも痛いほど心当たりがあった。揚げ物やジャンクフードなど、食べたいものを食べたいだけ食べて、平日も休日も常にお菓子やジュースを口に入れ、ストレスを感じればドカ食いをして眠る。動画内で彼が話す糖尿病を発症する前の姿はぼくの姿そのもので、発症後ガリガリになった彼の姿はぼくの未来の姿そのものだった。だから食習慣を見直してダイエットした。そう答えた。実際にはその動画を見たタイミングとダイエットをはじめたタイミングはすこしズレているのだが、とにかくそう答えた。並行世界で暮らすぼくはきっと糖尿病になっているだろうと今も思う。

話し終わると目の前に座っていた同級生は笑って、「人はそんなに簡単に死なないよ〜!!」と言った。ぼくはたぶん、笑ってその通りだと答えたのだが、内心では感動していた。こういう楽観性はぼくにはない。人はそんなに簡単に死なない!!なるほど。かなり救われた。ありがとう。

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