蕎麦屋の話

年末の忙しい時期にいつも利用している近所の蕎麦屋の親父がなくなった。

年越しそばで忙しい時期だよね。


大人になってからの話なんだけど、

あるとき、会社にお客さんが来てたから、その蕎麦屋にざるそばの出前を頼んだんだよ。

ところがお客さんは食べないで帰っちゃったから、ざるそばだけ余ることになった。たしか、4人前。

だから、俺が食べることになった。

4人前。

ざるそばの4人前なんて余裕でしょ。

普段はそうなんだよ。

とこがその日はなんか様子が違って、だんだん気持ち悪くなってくる。

口の奥になんか違和感。そして喉の奥、こりゃあやばいってなった。

絶対そばアレルギーだ。

急にそばアレルギーになった。

吐いたけどほとんど出てこない。

もともと普通にそばは食べれたんだよ。

でもあとから気づいたんだけど、そばを食べるときに口の中がピリピリしていたのはわさびのせいじゃなかったんだなー。って。

頭の先から痒い部分がだんだん下がっていくのがわかる。

足の先まで痒い部分が到達したとき、やっと少し楽になった。

で、帰るときに器を取りに来た蕎麦屋の親父とすれ違う。

さすがにそば食って死にそうになったとは言えなかった。


というのは、今回したい話ではないんだけど、

そばが食えなくなって、その蕎麦屋に出前を頼む時は親子丼を頼むようになった。

鶏肉が大きくて、卵もやわらかくて、普通に美味しかった。

親父さんが亡くなって奥さんももう店をたたんでしまったから、その味はもう食べれない。

昨日、別の蕎麦屋の親子丼を食べて、ふと、そのことを思い出したんだよね。


気持ちだけで結構なんですよ