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オゾン層は絶賛回復中!人類が解決した地球規模の環境問題について解説。

酸性雨同様に1990年くらいに、人類を恐怖させた「オゾン層破壊」という環境問題。日本でも話題になり、当時はアニメやまんがでもさかんに取り上げられていたのを覚えています。しかし、現在オゾン層の話題はひっそりとマスコミからは姿を消しました。その後どうなったのでしょうか。

そもそもオゾン層って?

我々の頭上、高度10~50kmにあるオゾンの濃度が高い(オゾンがたくさんある)部分のことです。オゾン層のオゾンは地上の酸素と太陽の短波長の紫外線(242nm以下)で自然に発生したと考えられています。オゾン層のオゾンは太陽からの中波長の紫外線(320nm以下)を吸収して酸素に戻ります。ですのでオゾン層のオゾンは絶えず生成しては消滅しています。
太陽光には多量の紫外線(日焼けや皮膚ガンの原因)が含まれています。特にエネルギーの強い短波長の紫外線は元々空気等に吸収されて地上に届きません。エネルギーの中程度の中波長の紫外線(320nm以下)の大部分は日焼けや皮膚ガンの原因となりますが、我々に到達する前にオゾン層が吸収してくれています。一方、最もエネルギーの弱い320nm以上の長波長の紫外線は地上に到達してしわやたるみの原因となります。

オゾン層がなくなる!という衝撃

20世紀に入り、冷蔵庫、クーラーなどの冷媒(冷たい空気を作る部分)や電気回路の洗浄剤として使用されてきたフロンが大量に大気中に排出されていました。フロンとはフルオロカーボン、つまりフッ素原子を含む有機化合物のことです。
前述の通りオゾンとは生成と分解の両方が行われており、その両者のバランスが取れてオゾン層が形成されておりました。しかし、産業革命以降人類がフロンを大量に放出するとそのバランスが崩れてできる量よりも多くのオゾンが分解されていきました。
1985年に南極でオゾン層が薄くなっているという現象(オゾンホール)が報告され、人々は恐怖しました。オゾン層がなくなると地上に降り注ぐ紫外線が増加することは間違いありません。エネルギーの高い紫外線は皮膚がんを引き起こすだけでなく、目への被害や遺伝子への影響が心配されます。このため人間が地上に住めなくなったりすることや、地球上の人間以外の生態系に大きな影響を与えると考えられたためです。

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素早い人類の対応

オゾンホールの報告の2年後の1987年にはオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書が採択され、世界的にフロン規制が始まりました。これにより、フロンの生産が禁止されていき、冷蔵庫、クーラーなどにはオゾン層を破壊しない代替フロンという冷媒が用いられるようになります。また、オゾン層を破壊するフロンを含んだ古い機器を廃棄した際はフロンを回収して大気に放出しないようになります。
洗浄剤や他の用途に利用されていたフロンもオゾン層に影響がない別の化学物質の私用に置き変わっていきます。
先進国を中心に大気に放出されるフロンの量は大幅に減っていきます。

「オゾン層回復」というニュース

2000年代に入るとフロンによるオゾン層の破壊は減少し、太陽光と空気から自然にオゾンができてオゾン層が増えていきます。2019年、NASAはオゾンホールが最初に発見されて以来、最小であると報告しました。2075年にはオゾン層は1980年以前の状態に回復するという予想もあります。近年ではオゾン層が破壊されているという話題は全く聞かなくなりました。
人類は自らの手で自らの環境破壊を止めて、地球の再生力は人類の環境破壊をきれいに修復してくれようとしています。大きな成果を上げたモントリオール議定書は、これまでで最も成功した国際環境協定と見なされています。

まとめ

オゾン層破壊は人類の素早い対応で環境問題を解決した好例と言えます。我々人類には問題を解決する力があります。
現在、人類が直面している様々な課題、地球温暖化、海洋プラスチック汚染、6度目の大量絶滅も皆さんの意思と科学技術の進歩が必ず問題を解決してくれると信じております。いつの日にかオゾン層破壊のようにこれら3つも問題がひっそりとニュースから姿を消す日が来ることを願っています。


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