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視察レポート〈イクネスしばた編〉

こんにちは、すさきのすづくり編集部です。

須崎市の新しい図書館等複合施設をつくるために、このプロジェクトでは全国の先進事例に学び、須崎流のあり方を模索しています。

2024年2月19日から2月21日にかけて、楠瀬市長とプロジェクトメンバー計14人で視察調査へ行きました。今回訪れたのは新潟と伊丹市の5つの施設です。

  • イクネスしばた(新潟県新発田市)

  • 聖籠町立図書館(新潟県聖籠町)

  • まちやま(新潟県三条市)

  • ミライエ長岡(新潟県長岡市)

  • 伊丹市立図書館本館ことば蔵(兵庫県伊丹市)

どの施設もそれぞれの地域に合った設計や運営の工夫があり、たくさんの学びを得られました。視察の様子とメンバーの気づきを数回に分けてダイジェストでお届けします。

写真:飛行機の窓越しに見たプロペラ。外は雲に包まれています。
高知から新潟へは伊丹空港で飛行機を乗り継いで行きます

新発田駅前複合施設「イクネスしばた」へ

写真:ガラス張りの3階建ての建物。建物前の芝生に「イクネスしばた」のサインがあります。

まず訪れたのは、新潟県の新発田駅前複合施設「イクネスしばた」です。
新発田市の中心市街地活性化を担う施設としてうまれた、市立中央図書館・こどもセンター・市民活動スペース等から成る複合施設です。

須崎市図書館等複合施設の設計メンバー、小寺さん(佐藤総合計画)が手がけた施設でもあります。

施設長兼図書館長の庭山さんをはじめ、齋藤施設長補佐、スタッフの皆さんが館内を案内してくださいました。

幅広い世代が行き交う複合施設

イクネスしばたは新発田駅から徒歩3分の距離にあり、通勤や通学で駅を利用する人が訪れやすい場所にあります。午前9時から夜の21:30まで開館しており、仕事終わりの社会人や部活後の学生、近くの病院に通う市民など幅広い世代に利用されています。

館内には用途に合わせて使える多目的室などの貸室があり、近隣の会社の会議や大学のオープンスクールなどにも利用されているそうです。

写真:多目的室1の入り口。ガラス張りで中の様子が見えます。
発表会や講演で使える多目的室1。予約のない時間帯は学生たちの自習室にもなります

多目的室2では週に2回「10代の居場所カフェ」を開催しています。10代なら誰でも、おしゃべりをしたりゆっくり過ごしたり、ボランティアの先生に困りごとの相談もできます。

写真:床に黄緑色のカーペットが敷いてある部屋。壁際には大型絵本が並んでいます。
読み聞かせやおはなし会に使える多目的室3

2階の中央には充実した設備を揃えたキッチンスタジオがあります。ガラス張りになっていて、料理教室やイベントの賑わいが図書スペースからも見えるつくりです。キッチンスタジオの周りには食育コーナーや料理にまつわる図書が並んでいました。

写真:シンクとIHコンロのある調理台が並んだ調理室。奥にはオーブンレンジや食器棚があります。

さまざまな機能が融合した開放的な空間ながら、利用者が目的に応じて過ごし方を選べるようになっているのが印象的でした。

写真:窓際にパソコンが並んだカウンター席があり、背後には木製の囲いで区切られたブースがあります。
2階のパソコンコーナーと視聴覚ブース
写真:書架の一部。シリーズ本の背表紙が並ぶ段と表紙をディスプレイした段があります。
棚板を回転させて面出しと棚差しの2Wayで使える本棚
写真:音楽練習室の入り口。ガラス越しに厚い壁が見えています。
人気の音楽練習室。防音性の高さに一同興味津々でした
写真:パネルを並べた展示室
2階の展示室では「イクネスしばたのあゆみ」の企画展が行われていました
写真:本棚の上に白いデスクライトのような形の灯りが並んでいます。
3階の一般開架を照らすライトは稲穂をイメージしてデザインされたそうです

親子で過ごせるこどもセンター

2階の一画には広々としたこどもセンターがあり、こどもたちが遊んだり一時預かりサービスを利用したりできます。午前中は赤ちゃん連れが多く、土日は多いときには400名近くの利用があるそうです。開館当初はにぎやかさに戸惑っていた一般利用者も、時間帯によって過ごし方を工夫して見守ってくれているのだとか。

写真:こどもセンターを入口からみたところ。ソファやベビーサークルのようなものが見えます。

こどもセンターの向かいには育児書や子育て世代向けの雑誌があり、親子で同じ空間で過ごせる工夫がされていました。

写真:育児やブックスタート、乳幼児向けの図書や雑誌が並んだ本棚があります。
写真:カラフルなマットや遊具のある広々としたスペース
クライミングや室内遊具で遊べるあそびのひろば
写真:うさぎやとり、ゾウなど動物のアイコンが描かれたサインが天井に設置してあります
児童書コーナーのサインはカラフルな動物のかたち

イクネスしばたを支える人たち

イクネスしばたでは、市職員と一緒にイオンディライト株式会社の皆さんがスタッフとして働いています。今回の視察でも、赤い制服を着たアテンダーさんが丁寧に対応してくださいました。イオンディライトのスタッフが利用案内や貸館対応、警備、清掃、整備などの業務を引き受けることで、図書館職員が図書館業務に専念できているそうです。

施設のチームメンバーとして利用者様の満足度を高めるコミュニケーション

施設案内(アテンダー)|イオンディライトセキュリティ株式会社
写真:赤い制服を着た女性がマイクを持って話しています
私たちの質問にも快く答えてくださいました

施設を支援する有志から成るイクネスしばたサポータークラブでは、図書館、キッチンスタジオ、こどもセンター、グリーン&デコ、総合活動の5つの部会に分かれて活動をしています。花壇や館内の飾り付けから、施設が市民の皆さんに愛されている様子が伺えました。

写真:花壇のプランターに色とりどりのパンジーが咲いています
総合活動部会でお世話をしているお花
写真:ガラスにちょうちょや花の装飾が散りばめられています
グリーン&デコ部会作の飾り付け

メンバーの声

図書館・こどもセンター・市民活動スペースと、同様の機能を検討している須崎市メンバーにとって、施設が実際に活用されている様子を見ることでイメージがふくらみました。

田尾さん「図書エリアとその他の機能の距離感が近かったことが印象的でした」

大野さん「“ザ・図書館”然とした静かな空間ではなく、複合施設ならではの市民が自由に使える場所になっている点が参考になりました」

近藤さん「イオンディライトに総合管理を委託することで、利用者への“おもてなし”レベルが高い複合施設で、イオンとサポーターズクラブが重要な役割を担っていると感じました」

小寺さん「設計担当させてもらった図書館。オープンしてから様々なイベントが図書館機能と融合しながら行われていて、設計時に皆さんと議論してきたことが実現し、さらに続いて行っていることが改めて嬉しかったです。」

あたたかく迎えてくださったイクネスしばたの皆さま、ありがとうございました! 今後ともよろしくお願いいたします。

(聖籠町立図書館編につづく)