リモートワーカーとオフィスワーカーの共存
この記事では、リモートワーカーとオフィスワーカーが円滑に仕事をするための環境作りをご紹介します。
簡単にまとめると、大事なことは2つです。
● 各々のコミュニケーションが取りやすい選択肢を用意する
● 会話内容は議事録に残して、チームに共有する
この記事で使われる用語は、以下のように定義します。
「リモートワーカー」→ 会社員だが、自宅やコワーキングスペースで業務を行う方
「オフィスワーカー」→ 会社員でオフィスに出社して業務を行う方
「リモートワーク」→ オフィス以外の場所での業務
「オフィスワーク」→ オフィス内での業務
誰のために書いているか
この記事は以下の方を対象としています。
● リモートワークを導入したいと考えている
● 何らかの理由により「リモートワークNG」という意見が会社から出ている
● リモートワークに興味を持っている
こちらの記事で、少しでもリモートワーク導入や、関連する問題解決のキッカケになれば幸いです。
スタイルポートについて
私が勤めている株式会社スタイルポートは、リモートワーカーとオフィスワーカーが混在する企業です。
私自身は、普段からリモートワークで稼働しています。本社は東京ですが、居住地は北海道・札幌市です。
現在は1ヵ月に1~2日ほど出社しています。出社しない月もあります。(出社義務はありません)
会社は好きですが、通勤時間が勿体なく感じており、自主的にリモートワークしています。
しかし、今の働き方に至るまで、実はちょっとだけ紆余曲折がありました。
まず、スタイルポートは異なる企業が合併して作られた企業です。
合併前まで私が元々務めていたBULB株式会社は、入社時からリモートワークが認められており、成果さえ出ていればOK、という風潮でした。
合併したのは、そういった自由な社風のIT企業と、オフィスワークを中心とした不動産企業です。
合併後のスタイルポートでは、いくつかのトラブルを抱えていたスタッフがリモートワーク中心だったこともあり、いつしかリモートワーク自体が問題視されることになりました。
当時の会社は「オフィスに集まってコミットした方が成果が出るだろう」という意向だった様です。経営者としての視点だと、確かにそちらの方が安心感があるように思います。
しかし、当時の私自身が正にそうでしたが、事情があってリモートワークを選択している場合は、オフィスワークに切り替えることが出来ません。
そんな状態で仕事を続けてもお互いに不満・不信感が募るばかりです。
そこで、オフィスワークを中心としてきた層の方々にも、リモートワークが有効であることをアプローチする必要があると考えました。
リモートワークやオフィスワークに関係なく、成果が出せるという既成事実を生み出して認めてもらうことにしました。
実際にやってみたことは以下の2つです。
● 稼働状況の可視化
● オフィスワーカーとリモートワーカーの情報格差解消
※これらは、現在も継続しています。
稼働状況の可視化
これは何かのツールを使って、稼働状況を監視をしている訳ではありません。
シンプルでアナログですが、始業時・終業時にSlackで一言挨拶しています。
挨拶の内容は「稼働します」「上がります」などの簡単なメッセージです。
これは、リモートワークへの懸念が会社から出ていたタイミングで「少しでも不安になる要素を無くしてみよう」と思って、最初は自分自身の稼働時間帯をアウトプットする目的で行いました。
これが、やってみると意外と良かったですw
自宅でフルリモート稼働する方(フリーランスに多いかも?)だと、話し相手がいなくて寂しくなる方も多いと思いますが、Slackで挨拶するだけでも出社時に挨拶しているのと同じ感覚があって「一緒に仕事してるんだなぁ」という感じになれます。
また、実際にメンバーの稼働時間帯が可視化されることで、レスポンスが取りやすい時間帯を示す役割も果たしています。
※スタイルポートでは挨拶専用のチャンネルが用意されていますが、分報チャンネルがあるチームでは、まずそちらで挨拶を初めてみても良いかもしれません。
オフィスワーカーとリモートワーカーの情報格差解消
すべてのコミュニケーションがオープンなチャットで行われていれば何の問題もありませんが、出社していると対面で話した方が早いし、ラクであることも多いと思います。
特に、意思決定までにスピード感が求められるトピックは中々チャットで書き込まれず、対面やビデオ通話でしか扱われません。(チャットは非同期コミュニケーションなので、当然ではありますが…)
私自身もオフィスに出社している場合は、そのような流れで働いていることが多いです。
そこで「チャットに書き込まれないなら、リモートワーカーでも会話に直接参加できるようにしてしまえば良い」と考えて、Zoom というオンライン通話サービスを使って解決を試みました。
スタイルポートは東京・名古屋・札幌の3か所にオフィスがあります。
各オフィスにWebカメラ+会議用マイク付きのPCを1台ずつ用意して、音声と映像を繋げています。これをスタイルポートでは「共用Zoom」と呼んでいます。
リモートワーカーは必要に応じて「共用Zoom」に参加して、出社中のオフィスワーカーと通話することができる仕組みになっています。
共用Zoomに接続しているリモートワーカーにはオフィスワーカーも気軽に話しかけますし、逆も然りです。
なお、共用Zoomは任意参加としています。
オンラインでグループ通話に参加するメリットは、遠隔地から接続する以外にも、手軽に参加およびミュート(離脱)できることだと考えています。
共用Zoomはミーティングではないため、これを強制参加にしてしまうと、作業に集中したい状況にも関わらず、聞きたくない会話などを「ノイズ」として耳が拾ってしまい、集中力が低下するデメリットが発生します。
話し合いが必要な場合は、ミーティングの依頼をSlackで呼びかけてから、両者合意の上で適宜Zoomを開始しています。
各々のコミュニケーションが取りやすい選択肢を用意する
共用Zoomを導入した事により、3つのオフィス間の会話もZoomにより頻繁に交わされることになりました。
以前と比べて、明らかにコミュニケーションの頻度が上がりました。
現在は自チーム専用の共用Zoomを整備して、そちらも併せて運用しています。全社共有Zoomだと扱いづらいトピックも出ていることと、より心理的安全性を高めるためのアプローチです。
会話内容は議事録に残して、チームへ共有する
Zoomの通話で話されていた内容は、Slackやドキュメントサービスにテキストの議事録として共有します。
これは、会話の参加者以外に対する配慮と、「言った・言わない」問題を防ぐために行っています。
決定事項以外にも、なやんでいるポイント、懸念・保留事項なども含めて一通りログに残しておくことで、会話内容の全体像把握に役立てます。
しかし、その場で話し合って数分で解決する小さな問題などは共有を忘れがちです。何かしら自動化のアプローチが欲しいのですが、まだ思い浮かんでおりません。
もし良さげなサービスを知っていれば、ぜひ教えて頂きたいです。
走り書き程度の内容については、会話の裏側でテキストエディタ等にメモっておき、そのままSlackへ流すことを心がけています。
常時通話サービスの選定理由
Zoomにたどり着く前はSlackの通話機能やappear.in(現: Whereby)、Discord、Hangoutなど色々と試してみました。
しかし、チームが求めていたのは「安定した通話品質」であり、それが最も優れているZoomに落ち着いた、という経緯があります。
Zoomの注意点
Zoomを使った常時接続を作業用のメインPCで行ってしまうと、PCの動作スピードが遅くなる場合があります。
私が使っているのは Surface book2 ですが、同僚はスペックの高いデスクトップPCを使っているにも関わらず、パフォーマンスが下がるとの事でした。
したがって、作業用マシンとは分けて専用のタブレットやスマートフォンなどを用意することをオススメします。
また、その場合はバッテリーの消耗が激しいのでご注意ください。
リモートワークに対する懸念をなくすために
普段からリモートワークの恩恵を受けまくっている身からすると、オフィスワーカーに対して「なんて遅れた働き方をしているんだ。リモートワークに切り替えれば良いのに」と主張したくなりますし、私自身もそのように考えていた時期もありました。
しかし「対面で話した方が効率良いので、皆が出社するべき」という側の主張も、単にリモートワーク自体が未経験であったり、身近に優れた成果を出すリモートワーカーが居なかったり、など経験・視点が違うからこその見解です。もちろん、メンバー構成によっては対面の方が早く済んだり、良い結論が出るケースもあると思います。
お互いに意見をぶつけ合うだけでは、両者が譲らなかった場合に膠着してしまいますし、スタイルポートの様にリソースの限られたスタートアップ・ベンチャー企業でそんな事をやっている場合ではありません。
私は、ここでご紹介した取り組みに加えて「リモートワーカーでも問題なく成果が出せる」という既成事実を作っていくことで、会社側もリモートワークを認めてくれるようになりました。
入社時からリモートワーク自体が完全禁止だと難しいのですが、試験的にでも導入できれば、あとは成果を出すことで本格導入に繋がる可能性があるはずです。
まとめ
スタイルポートでは各々のコミュニケーションが取りやすい選択肢を用意して、決定事項はログに残してチームへ共有することで、リモートワーカーとオフィスワーカーが混在しても円滑に業務を回すことができています。
チームの温度感によって導入できるツール・仕組みも異なるでしょうし、ご自身の職場環境に合わせた施策を導入してみてください。
特にスタイルポートの場合は、メンバーそれぞれで勤務スタイルが大きく異なります。勤務時間帯もバラバラですし、同じ人でもムラがあったりします。
自分にとって得意とする働き方を強制するのではなく、お互いにいくつかのやり方を試してもらって、いいとこ取りが出来れば今よりもチーム全体のエンゲージメントや生産性を高められるかもしれません。
また「もっとこうした方が良いよ」「こんなサービスがあるよ」「ウチはこういう取り組みやっているよ」といったご提案・ネタがあれば、ぜひコメントで教えて頂きたいです!
おわりに
リモートワークで働きながら、私たちはROOVという不動産売買の販売現場をサポートするプロダクトを開発しています。
こういった働き方改革やツールによって、ROOVに表示する3Dコンテンツの制作コストは、一般的な3D制作と比べて大幅な削減を達成しました。
たとえば、新築分譲マンションであれば1プロジェクトあたり約3週間でROOVによる3D内覧を開始することが可能です(2020年2月現在)
不動産売買でお悩みの企業様は、ぜひスタイルポートまでご相談ください。
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