THEATRE PLUS 2021年6月号 NU'ESTベクホ
New, Love, wave
サーフィンは本当に魅力的なスポーツだ。いつ襲ってくるか分からない波を果てしなく待たなければならず、不規則な波の中を横切らなければならず、体の上に降り注ぐ水を気にせずに受け取らなければならないのに、愛するしかなく魅力的だという言葉以外にはどう表現すればいいのか。 サーフィンする人を見て波に片思いする人だとよく言ったりする。すぐに海の中に消えるものを愛することは、簡単なことではないようだ。だからサーフィンを楽しむ「ハラム」が、終わりを決めた波のような「ヘナ」に惹かれるのは当然かもしれない。『タイヨウのうた』の俳優ベクホはそんな「ハラム」に似ている。彼も海と共に育ったし、自然に海を愛するようになったから。そして彼も最初の恋に落ちた 「ハラム」のように初めてという時間の中にいる。初のミュージカル舞台に踏み出すベクホの足取りは浮かれているよりも淡々としていた。それでもときめく心は隠すことができずそのまま現われた。落ち着いた口調とは裏腹に表情は生き生きと輝いていたし、より良い舞台を見せるために他の俳優の公演日にも劇場に向かうという言葉の中には、真心のこもった愛情と情熱がうかがえたから。なので自然と期待することができる。『タイヨウのうた』が彼の初恋の人になるのではないかというちょっとした好奇心に満ちた期待。
撮影中俳優という呼び名はぎこちないという話をしました。ドラマと映画にも出演したことがありますが、慣れていないようですね。
前に出演した作品は比重の大きな役割ではなかったんです。俳優と呼ばれるのがまだまだぎこちないです。
それならこの作品を本格的な演技デビュー作と見てもいいですね。まだ初演の前でもあるし、とても緊張しそうです。
実は緊張よりは...何と言えばいいんでしょうか。緊張します。いや、緊張するという言葉だけでは表現が難しくてドキドキするという言葉が正しいと思います。もちろん初めてという理由もありますが、他の方々と一緒に行う公演なので多様な感情が生まれるんです。僕はただよく付いて行けばいいんじゃないのかな。
どうやってミュージカルに関心を持つようになったのかも気になりました。
音楽的に様々な挑戦をしていますが、その過程はみな似ているようです。NU'ESTとしてデビューして、デビューしてステージに立ってみると曲を書いてみたくなって、曲を書いてみるとプロデュースまでするようになって、こういう過程です。でもミュージカルは気軽に挑戦することが難しかったんです。提案が入る作品もほとんど拒んでいたんです。でも最近になって新しい活動をしてみたいと思いました。心配でいっぱいだったミュージカルを肯定的に見つめ始めました。何よりも舞台で観客と呼吸するのが一番恋しかったんです。その部分がミュージカルを決定するにあたって、最も大きな役割を果たしたと思います。
先立ってミュージカル舞台に立ったメンバーたちの影響もありますか?
メンバーたちの影響があるといえばあるだろうし、ないといえばないのですが、ミュージカルを観に行った時はまだ自分がミュージカルをやろうという考えは全然なかったんです。ただ楽しんで見てたんです。僕がすると分かっていたらもう少し詳しく見ればよかったですね(笑)
鞄の中にはこれまでもらった台本をいつも入れておくらしいですね。台本には主にどんなことをメモしておきましたか。
個人的に感じたことも書いてあって、舞台動線に関するメモも多いです。いつどこで何番に立っていないといけなくて、どこへ移動しなければならない、こういうものです。そして昨日オニュさんの公演だったんです。バックステージで兄さんがするのを見ながらまた動線をチェックしました。 他の方々がやっているのを見るとすごく勉強になると思います。
初演を終えた俳優たちもいます。他の俳優の公演も見ましたか?
何度も見ました。公演がどんな風に行われるのか見ようと思って。他の俳優たちが先に公演を始めていて一緒に練習する時間が多くなかったので、あえて時間を作ってたくさん見に行っています。
『タイヨウのうた』チームの雰囲気はどうですか?
みなさんよく気を配っていただいています。僕がミュージカルが初めてなので他の作品はどうなのかわかりませんが、雰囲気がとても良いです。和気あいあいとしていて、 最近はマニト(匿名で誰かを親切にするゲーム)もしたんです。
俳優ベクホのマニトは誰なのか気になりますね。
「ヘナ」役の俳優イ·アジンです。マニトにプレゼントとして所蔵品をあげなければならなかったんですが、僕は何かを準備してあげることができませんでした。この場を借りて良い話をしてもいいですか?(もちろんです)俳優イ·アジンは人間ナビです。僕が動線がよく分かっていなかった時に隣で引っ張って行ってくれるんですよ。僕より一歳下ですが、長い間ミュージカルの舞台で活動して立って老練で余裕が感じられます。自分の演技をしながら他の俳優のことを気遣う性格なので、本当にありがたい友達です。さて、もうマニトとしての役割をすべて果たしたようですね!
マニトからもらったものはありませんか?
誰なのかも分かりません。マニトが誰なのか公開した時、僕が席を外していたんです。もらったものもないようです。でもマニト以外にも皆さんに沢山助けていただいています。特にオニュさんは公演を経験した立場なので、合間合間に必要な部分を気遣っていただきました。同じ楽屋を使う俳優たちにタンブラーも一つずつプレゼントしてくださいました。雰囲気もいつも兄さんが導いてくれる方です。話しているとまさかオニュさんは僕のマニトだったんでしょうか?(笑)
チームの雰囲気がとても良さそうですね。 練習中にあったエピソードも気になります。
最初の練習の時にあったことですが、僕が知らない人と一つの空間で沢山会ったのは久しぶりでした。それで人見知りもして大変でもあったんですよ。その時、僕と同じハラム役で出演するDAY6のウォンピルさんが先にやってきて「こんにちは」と挨拶してくれたのが一番記憶に残っています。ぎこちなさを和らげようとする兄さんの配慮が感じられて、僕も会話の口火が切れました。
普段も人見知りをする方ですか?
人見知りはしないですが、最近新しい人にたくさん出会う機会が少ないじゃないですか。 とても久しぶりだからその状況自体がぎこちなかったです。
では作品の話をしましょうか。『タイヨウのうた』はどんな作品ですか。
夜に歌う「ヘナ」と昼にサーフィンを楽しむ「ハラム」が描くロマンスです。暖かくて可愛らしく美しい創作劇です。
サーフィンが好きな「ハラム」はどんな人物ですか?
まず、サーフィンが好きな人で活動的で明るい人です。少し早く物心がついた子だとも思います。年の割にしっかりした感じを受けました。
自分で「ハラム」と似た部分があると思いますか?
僕もしっかりしています(笑)またこの子も海が好きで僕も海が好きだという点です。もちろん僕はサーフィンが上手ではないですが、海は本当に好きです。スキンスキューバもしてますが、まだ始めたばかりです。フリーダイビングを楽しんでいます。水でするスポーツは何でも好きです。
大衆音楽とミュージカル音楽は発声、音域帯など異なる部分が多いです。 声の出し方が完全に変わったはずですが、個人的な悩みもありますか?
最初にした時難しく感じた部分はあります。ナンバーの中にある歌詞が全部セリフじゃないですか。歌うようにするのではなく、セリフを伝えるようにしないといけないのが一番難しかったですね。その部分はまだ悩んでいます。一生懸命練習しています。
ベクホ俳優のハラムに修飾語を付けるとしたら?
僕は修飾語が付くのが少し負担です。特に望む修飾語もありません。そしてある意味、修飾語がないのが一番良い演技ではないかとも思います。
一番好きなナンバーは何ですか?
10番目のナンバーである「出くわした太陽」が一番好きです。僕のナンバーじゃなくて、アンサンブルの俳優の方々がコーラスを入れるシーンなんですが、「ヘナ」が太陽を避けて走って逃げるシーンで、「ハラム」もそういう「ヘナ」を追いかけるシーンなんです。 その場面を基点に劇の雰囲気が変わります。それまでは二人が仲良くなる過程でしたが、その後「ヘナ」が病気であることを知り悲しい場面が出てきます。反転を与える場面だと思います。
今回の作品を通じてミュージカルに一歩近づいたじゃないですか。ミュージカルの魅力は何だと思いますか?
ミュージカルの舞台に上がる立場では、与えられた呼吸をすべて引っ張っていかなければならない役が魅力として近づいてくるようです。公演を見る観客の立場ではただダイナミックでした。明るかったり暗くなったり、急に心の片隅が雄大になったりする場面も多くて、映画一本を実際に目の前で向き合った感じと言えばいいでしょうか。
やってみたい役もありますか?
暗い役や悪役をしてみたいです。今回は18歳の少年でもあり「ヘナ」と共に明るいロマンスが中心なので正反対の役割をしてみたいんですね。面白そうです。
(18歳の少年という)言葉もでましたが、18歳の少年を表現するのはどうでしたか?
18歳を表現することは難しくなかったのですが、個人的に「ハラム」の友達とテンションを上げなければならない場面が難しく感じました。僕は普段テンションの高いスタイルではないので、楽しくて溌剌とした行動をする場面が一番難しかったんです。
悲しくて感動的なシーンが多いですが、練習中に泣いたりしましたか?
練習室でたくさん泣きました。「ヘナ」を見ながらもたくさん泣きましたし、「ヘナ」のお父さんを見ながらもたくさん泣きました。普段も映画やドラマを見ながらちょっとしたことで泣いたりします。例えば一番悲しかったのは「ヘナ」の父が「ヘナ」が自由に生きられなかったことを後悔する場面です。僕はそばで聞いているだけで涙が出ました。もちろん作品内で「ハラム」が特別に涙を流さなければならない場面はありません。涙が出たらもう少し良くなる場面はあります。流れに沿って行くと自然に出てくるはずですから。
『タイヨウのうた』とベクホ俳優の「ハラム」を楽しみにしている観客に一言お願いします。
最大限ミスなく完璧にやりますが、ミスをしてもその部分に集中するより、全体的な公演を見ていただきたいと思います。最善を尽くすので、楽しく見ていただきたいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?