ソマリアの海賊ビジネス

今日は海上輸送の邪魔をするソマリア海賊がどのようにお金を稼いでいるのかというお話になります。

動画もあるのでお好きなほうをご覧くだせい。

https://youtu.be/OjR1-6r1ukU


はじめに


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日本史上最大の船「日精丸」、東京タワーよりも長い巨体は、中東から原油を運び日本の経済成長を支えました。現在,世界最大の船は日精丸より約2メートル大きいEIヨーロッパ、長さ380m、一度に「493,951,068リットル」の原油を運びます。

今の原油価格(2019年12月)で計算してみると

493,951,068ℓ×40円=19,758,042,720円
海賊の目線で見ると、EIヨーロッパ号は約200億円のターゲットになります

2018年度に世界で報告されている海賊被害は201件。海上パトロールが厳重にもかからずアデン湾、シンガポール海峡、ギニア湾などで不審船が頻繁に目撃されています。2011年には、商船三井のタンカーが襲撃されるなど、日本にとっても海賊は無視できない存在です。2009年には海賊対処法が成立し、海上保安官による海賊船への射撃攻撃が合法となっています。


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海賊といっても。パイレーツオブ〇リビアンに見るようなあの帽子や、あの船の感じではなくて今日の海賊は、緻密な計画を元に遂行されるビジネスで、組織や投資家に資金が提供されて成り立っていて、海賊ビジネスに特化した交渉人なども存在します。利益率が30%以上もあって、アップル社(23%)も嫉妬してしまいそうなレベルなんです。

まず、ソマリアを知ってほしい。

今日取り上げるのはソマリア海賊。ソマリアは世界の極貧国の一つ。
30年間内戦が続いていて、国を統治する政府は存在しません。見えるものは干ばつと飢饉。日本の外務省は渡航危険レベル4(MAX)と設定していて外務省はこのようにHPで明記しています「退避してください。渡航は止めてください。」

北は独立国家のソマリランドとプントランドがあり。両者ともに国際的に国としては認められていません。南は、 モガディシュを首都とする連邦政府と巨大なテロリストグループに分断されています。

この環境下では、学校や病院などのインフラを整える事が困難であり、
ほとんどの人が生まれてから死ぬまで「安定」とは無縁。
そんな国の平均寿命は55歳。GDPは世界から見てもかなり低く、マダガスカルやガーナが富裕に見えるほど。

隣国のエチオピアは、コーヒー、穀物でお金を稼いでいますが、ソマリアは不幸な事に国土全体のたった1.8%が可耕地、比べて日本は11.5%、アメリカは16.5%, バングラデッシュ60%。

暑い気候ととても暑い気候の地域に分かれています。
長い海岸線を持ち合わせるソマリアは漁業が大きな収入源となるはずですが、魚を取っている余裕もインフラも無い。そんな状態です。実際に海外の企業に300億円相当の魚が奪われていると言います。そのほとんどがマグロ。

まとめますと、ソマリアは、無に近い教育制度無に近いヘルスケア、そして絶え間ない内戦にさらされています。年間のGDPは315ドル。過去30年間成長に悩む我が国日本のGDPはソマリアの125倍です。平均的な海賊行為の被害額は2.7億円。ソマリアの内情を知ると、海賊行為が行われる理由がわかりますね。

何百倍も裕福なアメリカや日本でもしょうもない強盗が頻発している事を考えると、、、ソマリアの海賊に同情すらしたくなる。。

お待たせしました。ここから海賊ビジネスのお話

まず最初は、ターゲット選びから始まります。
海岸沿いをゆっくり航海する、富裕国(アメリカ、日本、ドイツ、イギリス)の船がターゲットとして好ましいです。2005年のスターブリーズ号の事件に見るように豪華客船も良い狙い目となります。

次は、お金の用意。1回の海賊行為は最低300万円から。3人から5人の投資家が共同出資する形でリスク分散をします。 

そして、攻撃です。4人から20人の海賊が乗った母艦が最大1200kmほどターゲット追いかけます。そして標的に近づいた所で1~2隻の小さなボートに乗り換えてロープとはしごを使ってターゲットの船に乗り込みます。もちろん狙われた船は攻撃し返すのですが、海賊のマシンガンとロケットランチャー、海賊に襲われた絶望感でほとんどの船が抵抗ができないと言われてます。海賊が乗り込んだ後は、乗組員は一か所に集められ、無線機類が破壊されます。

ここで海賊ビジネスは2つのモデルに分かれます。貨物狙いと身代金狙い。
1つ目は、オーソドックスにお宝を盗んで闇組織に売るパターン。東南アジアに多いそうです。今日お話するソマリア海賊によくあるのは、2つ目の身代金要求パターン。荷物よりも乗組員に対する身代金のほうが簡単でしかも高く付く事を知っています。そもそも貨物には興味はないんですね。人質を乗せた船は近くの港に停まり、このビジネスの肝となる最重要事項を始めます。

交渉です。これがただの交渉ではないんですね。
海の上でいきなり身元も分からない海賊に襲われていますので、お互いの情報がまったく無い状態でこの交渉は行われます。なんなら嘘はいくらでも着けますので、非常に難易度の高い交渉になります。船の持ち主は貧乏と見せかけ身代金を下げる事に注力しますね。逆に海賊は人質を脅しながらも確実に取引を決める忍耐力が求められます。時間が過ぎる度に、船の荷物の価値が下がり平均的な身代金の要求額は上がる傾向があります。交渉は長期にわたり100日、200日はザラで5年間続いたケースもあり、複数の交渉人と通訳者を通して行われます。1

船が海賊保険に加入している場合は、交渉はプロの手で行われ、9%の殺人発生率が2%に下がると言われています。保険の性質上、乗組員は保険の有無は知らされていません。もし知っていたらその保険は無効になります。なぜなら、乗組員が保険を持っていると知っていると海賊の要求すべてを飲み込んでしまうからです。交渉内容が固まると海賊は乗組員をデックに並べ安否を保証します。そしてヘリコプターがお金の入った袋を船に落として取引が完了されるわけです。

そして最後に、海賊の一番楽しい工程。会計。

だいたい資金提供者は報酬の30%を受け取り、海賊を擁護した港には10%。残りの60%は海賊達で山分けする事になります。一番最初にターゲットに乗り込んだ者には100万円ほどのボーナスが出る事もあるとか。

このような海賊ビジネスは年に何百回と起こっていて、海運会社は毎年保険金を含め43~83億円の損失がでています。
海賊に追われた際に13ノットから18ノットに加速するだけで、1日800万円以上の追加燃費が掛かります。ちなみに、この海賊コストは全て隠れた形でみなさまの荷物の運賃から徴収されています。

この問題に対して、どうすればいいのか?
→倍返しすればいい。


NATOや日本の派遣部隊による海運パトロールによって2009年から現在までに海賊被害は激減。さらに船会社は、護衛を雇い海賊の監視、攻撃の阻止をしています。

しかし、一回に300万円から750万円の報酬が得られる海賊という仕事の需要はどれだけリスクが高くなろうとしても無くなる事はありません。

本当にやるべき解決策は国の経済の安定化であり、海賊に他の収入源を与える事です。日本は、ソマリアにおける国家再建に向けた平和の定着と経済社会安定化のため、(基礎的社会サービスの回復、治安維持能力の向上、若年層の社会統合を含めた)国内産業の活性化を重点分野として支援を行っています。

国を内部から治す。ここに目を付けた有名な日本人が居ます。
すしざんまいの名物社長、木村清さん。
ソマリア沖ではよくマグロが良く釣れるらしく、日本から中古漁船と漁の技術を持ってきて試行錯誤しながらの地元の雇用を創造しているそうです。年々激減している海賊被害の件数は彼の功績と言っている人も居ます。

手を叩いて手をひろげてるだけじゃないんですね。

はい。海賊ビジネスの概要と、海賊の被害件数はわが国を含める諸国の取り組みによって激減してきているという事でした。

海賊達は悪い事はしたくてやっているわけではない。単純に人生を変えたいだけなのです。

登録、ライク宜しくお願いいたします。







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