「ペスト」 カミュ作 1947年 感想文
随分昔、40年以上前に読んだ時は、チンプンカンプンだった。その後何度か読んだが、今また、脚光を浴びるとは、皮肉すぎる。
このペストは、真面目な感じの作品である。「異邦人」では、余りにも理解不能で突拍子のない話であるので、「異邦人」の主人公はいい加減なチンピラだ、と勝手に決め付けていた。
だが、「ペスト」では、生真面目な人間として医師として、街を救うために命をかける男として描かれる主人公である。
文章構成に隙はなく、知的な人間の言葉が綴られる。ここではひどい不条理は見られず、